ウズベキスタンの「移動する」幼稚園。地方部の就園率を向上へ

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全体の約2割。これは、中央アジアに位置するウズベキスタンで、プリスクール(幼稚園、保育園)に通える子供たちの割合だ(※1)

2017年のデータによると、日本全国の就園率は、幼稚園(3~5歳児)が41.4%、保育園(3~5歳児)が49.3%となっている(※2)。「子どもに、人間形成の基礎を培ってほしい」「仕事と子育てを両立したい」など様々な理由で、多くの人が就学前教育施設を利用していることがうかがえる。

ウズベキスタン政府は、就学前教育を充実させることが重要と考え、プリスクールの設備を整えるために1億ドル(約130億円)の予算を確保したり、先生の給与を改善したりしてきた。

こういった取り組みのひとつとして同国が推進しているのが、先生がバスに乗って、中心市街地から遠く離れた地域で暮らす子どものところに教えに行く、“移動型プリスクール”だ。従来の就学前教育施設を利用しにくい地域においても、就園率を高めることを目指している。


移動型プリスクールが対象としているのは、3~7歳児だ。バスは子ども用の椅子、色鉛筆、パズルなど、教えるのに必要な道具も運ぶ。屋根にソーラーパネルが設置されており、電気を自給自足することが可能だ。

バスの到着場所では子どもたちが待っており、先生を迎える様子が微笑ましい。到着した後は、地域の広場などに道具を広げて指導を始める。

移動型プリスクールは、一度で最大16人の子どもを担当し、指導時間は一回あたり3時間だ。日によって違う地域に教えに行くという。就学前教育省のアドバイザーによると、新しく幼稚園を建設するより、移動型プリスクールのほうがコストが抑えられるというメリットがあるそうだ。

こういった就学前教育施設の拡充により、2021年には、60%以上の子どもがプリスクールに通うようになったウズベキスタン。約10年で、大きな変化を遂げている。

子どもがバスに乗って幼稚園などに行くのではなく、先生がバスに乗ってやって来るという、発想の転換がユニークではないだろうか。日本には移動図書館や移動動物園などがあるが、他にどういった施設を「移動」できるか、考えてみたい。

※1 Investing in Children Means Investing in Uzbekistan’s Future
※2 各国の就学前の保育・教育の状況(ベネッセ)
【参照サイト】Pre-school education in Uzbekistan goes mobile | Euronews
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