教育へのアクセス拡大を。3Dプリンターでつくる学校、マダガスカルに誕生

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ユネスコによると、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う学校の休校措置で、世界の15億人以上の子どもたちが学校に通えなくなったという。国や地域によっては、オンライン授業を導入することが困難な場合もある。子どもたちの教育の機会が奪われないように、これからも彼らが通える学校が必要だろう。

アメリカの非営利団体である「Thinking Huts」は、世界中の子どもたちが教育にアクセスできるようにと、3Dプリンターで学校を建てる取り組みを始めている。3Dプリンターを使うと1週間もかからずに学校を建てることができるため、学校施設が不足している国や地域にとっては特に嬉しい取り組みだ。建設業の人手不足が起こっている地域にとっても朗報だろう。

学校

Image via Thinking Huts

この世界初となる3Dプリンター製の学校の建設は、建築設計事務所の「Studio Mortazavi」と共同で、アフリカ南東部沖に浮かぶ島国マダガスカルからスタートする。建物のデザインは蜂の巣を参考に考案されており、単体でも、複数の小屋を新たにつなげて使うこともできる。小屋の外壁には垂直農園を組み込み、屋根には太陽光パネルを設置している。

設計図

Image via Thinking Huts

これらの学校を建てる際には、その土地で調達できる素材を使う地域完結型である点が特徴的だ。建物の壁は3Dプリンターで作り、屋根、ドア、窓といった部分は地元の素材を使って作る。また、Thinking Hutsは地元の人たちに3Dプリンターの使い方を教え、ゆくゆくは彼ら自身で学校を建設していけるようにしたいという。地域の特徴を生かしつつ、地元の人たちが自立して動ける力を育てていく。

学校

Image via Thinking Huts

Studio Mortazaviの建築家であるアミル・モルタザヴィ氏は、Fast Companyの取材に対し「他の国でも地元の技術者に3Dプリンターの使い方を教え、学校を建設していくことができる」と語っており、一人でも多くの子どもに教育を届けたいという熱い気持ちが伝わってくる。マダガスカルでの経験が、他の国で挑戦するときにも活きるといい。

Thinking Hutsによるとマダガスカルは政治的に安定した、成長する機会のある新興国であり、それが同国で最初にプロジェクトを行うことを決めた理由のひとつだという。地域社会と関わり教育の振興を図るという、同団体のミッションに共感する現地パートナーに巡り合えたことも、大きな理由だ。最先端技術を活用した学びの場が完成するのが、今から待ち遠しい。

【参照サイト】 Thinking Huts

Edited by Erika Tomiyama

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