「男女の家事負担の不平等」が見えるアプリ、スペイン政府が開発

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スペインでジェンダー平等や女性の権利の促進を行う平等省(Ministry of Equality)が、「家事による男女間の不均衡」を可視化するための無料タスクアプリを発表した。2023年8月時点でUIなどは公開されていないが、今後数ヶ月以内のリリースを目指しているという。

アプリ開発の目的は、主に男性がより家事をするように促すことと、女性の精神的な負担を軽減することだ。それぞれが家事をした時間を記録することで、スペイン国内で家事の大半を女性が行っているという事実(※)を浮き彫りにしていく。

※ スペインの国立統計機関の調査によると、家事の大半を担っていると答えた女性が45.9%であったのに対して、男性はたったの14.9%であった。また、Caixa財団の報告書によると、女性が家事に費やす時間は、男性より1週間あたり15時間多く、1年だと780時間多い計算になるという。

アプリの機能は、単に家事に費やした時間を記録するだけではない。目に見える仕事以外の、「献立を考える時間」や「食材の買い出しにかかった時間」、「子どもと関わる時間」など、当たり前になっていて気づかれにくい家事の「精神的な負担」にも焦点を当てている。

料理をする女性

料理をする女性

夫婦以外にも、結婚をしていないパートナーや子どもたち、フラットメイト間など、さまざまなシチュエーションで家事を分担することができるように設計されている。

スペイン平等省のアンヘラ・ロドリゲス氏は、「さまざまな種類の仕事を家事とみなすべき」であり、「精神的な負担はほとんど女性に集中している」と強調した。同省は、「男女間、国家、市場、家族、地域社会間の責任分担を促進する包括的なケアシステムを、ジェンダー、交差性、人権の観点から設計することが課題」であると考えている。

同国のペデロ・サンチェス首相は、2018年の就任時にジェンダー問題に力を入れると約束しており、今回の家事の可視化アプリは、その「共同責任」計画の一部をなすものとされる。

ユーロバロメーターの統計によると、ヨーロッパでは10人中8人が男性も女性と同じ量の家事や育児をするべきだと考えられている。家事だけが、男女の不平等を解決するわけではないが、スペイン政府が国をあげて男女平等や女性の精神的負担の軽減に取り組んでいることは、とても興味深い。

普段家事をやってくれる人になかなか感謝できていないことなどがあったら、言葉にしたり、行動にして示したりするのも大切。そんなことを教えてくれる取り組みとなるかもしれない。

【参照サイト】CNN – Do men shun household chores? Spain is launching an app to find out
【参照サイト】The Guardian – Spain hopes domestic tasks app will ensure men pull their weight
【参照サイト】The Local – Spanish govt creates app to highlight gender imbalance in household chores

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