「世界で最初のフェミニスト政府」スウェーデンに見る、ジェンダー平等政策

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ジェンダーの問題といえば、どのようなことが思いつくだろうか。日本においては、女性の雇用機会の平等性や管理職の割合について話されることが多いが、実はそれ以外にも、この問題に対して取り組めることは多様に存在する。

そのヒントとなるのが、北欧スウェーデンの取り組みだ。SDGs進捗度ランキングをまとめたレポート「SDG INDEX(2021)」でも上位をマークしているスウェーデン。2006年以来世界ジェンダーギャップ指数ランキングでは5位以下になったことがなく、2021年のランキングでも「5位」をマークしている。

2016年9月に開始された国連のジェンダープログラム「UN Women’s Making Every Woman and Girl Count」においても、プログラムパートナーとして牽引し、世界でも先進的な取り組みを多数進めている(出典/UN Women)。

フェミニスト政府を宣言 ジェンダー平等は不可欠

国会議員の約半数が女性(Image via <a href="https://sweden.se/life/equality/gender-equality" target="_blank" rel="nofollow">スウェーデン政府</a>)

国会議員の約半数が女性(Image via スウェーデン政府

スウェーデン政府は、世界で最初のフェミニスト政府と宣言している(出典/スウェーデン政府のHP)。サイトには「ジェンダー平等の実現は、社会課題を解決することの一部であり、公正な社会と経済の実現には”必要不可欠”である」と明言されている。

その言葉通り、22人の政府大臣のうちその半分11人が女性。ジェンダー平等大臣(住宅担当大臣と兼務)も設置されており、2030年までに男女の格差を是正することを目標にしている。予算法案においても、ジェンダー平等分析にもとづいて進められ、60の公的機関とともに政府機関におけるジェンダー主流化を強化するためのプログラムを取り入れている(出典/UN Women)。

さらに外交や貿易政策でも、資源や機会の公平性などの配慮が取り入れられており、貿易交渉においては女性にプラスを与える貿易先、サービス、製品を優先するなども行っている(出典/政府HP,2019)。

企業におけるジェンダーの取り組み 地域における支援策も

スウェーデン

ビジネスセクターでもジェンダーの取り組みは進んでいる。女性の社会参加率はEUで最も高く「78.3%」。上場企業の取締役会メンバーの女性比率の平均は「35%」と、まだこの点においては課題と認識されているが、女性の平均月収は男性の「90.2%」と他国と比較しても高い水準だ(出典/政府、統計局2020)。

日本でもよく知られるIKEAでは、取締役会や店舗などで「50/50」の性別バランスと同一賃金、機会均等に取り組んでいる(出典/IKEA)。また、スウェーデンの銀行 swedbank でも、セクハラやハラスメント、差別を予防するためにガイドラインを設ける取り組みを行っていたり(出典/Swedbank)、住宅会社Botkyrkabyggen では、外国人の女性たちに語学や仕事に関するクラスを開いたりと、地域活動におけるジェンダーの取り組みも実施している。

芸術における言葉、雇用機会の見直し

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文化面での取り組みにも注目だ。スウェーデン語で、ジェンダーにとらわれない代名詞「hen」が、2012年頃から使われるようになっている。こういった言葉の見直しとともに、音楽や芸術の分野でもジェンダーバランスが取り入れられている。

政府機関である Music Development and Heritage Swedenは、芸術評議会や芸術助成委員会とが協力して、音楽部門における男女平等の促進を目的としたプロジェクトを支援することも行っている(出典/UNESCO)。

また、映画協会は、若い女性を対象とした製作支援プロジェクト「green house Project」を立ち上げ、映画製作者や資金援助のジェンダーバランスに取り組んでいたり、国立歴史博物館ではコレクションや展示会でよりジェンダー平等に表現するための資料を作成し配布(出典/UNESCO)したりと、雇用のバランスに取り組んでいる。実際に、スウェーデンは 2018年に女性の雇用率がEU圏内で最も高い79.4パーセントに達した(出典/eurostat)

ジェンダー推進からその先のダイバーシティへ

ダイバーシティ

ここまで、スウェーデンの社会や経済システムでのジェンダーの取り組みについて触れてきた。日本においても、今はまだ気づかないところにジェンダー不平等が埋め込まれている可能性があることを、もっと意識する必要がありそうだ。

今までのシステムは、一部の男性たちによって確立されてきたがゆえに、他のジェンダー当事者の視点やニーズが取りこぼされてきた。それはつまり、社会に存在するあらゆる人の存在や命を守ることを実現できてこなかったかもしれないということだ。

ジェンダーの問題を通して、人権がきちんと守られる社会を実現していくことは、ダイバーシティ・インクルージョンの基盤づくりとなるのではないだろうか。

【追記:2022/9/8】新たにデータを追加しました。

【参照サイト】Equal power and influence for women and men – that’s what Sweden is aiming for.
【参照サイト】The Results of Sweden’s Extreme Gender‑Neutral Education
【参照サイト】Measures for gender equality in the area of culture
【参照サイト】Gender equality in higher education
Edited by Kimika

寄稿者プロフィール:松尾沙織(まつお・さおり)

ライター・ファシリテーター。震災をきっかけに社会の持続可能性に疑問を持ったことから、現在はフリーランスのライターとしてさまざまなメディアで「SDGs」や「サステナビリティ」を紹介する記事を執筆。SDGsグループ「ACT SDGs」立ち上げる他、登壇、SDGs講座コーディネートも行う。また「パワーシフトアンバサダー」プロジェクトを立ち上げ、気候変動やエネルギーの問題やアクションを広める活動もしている。

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