2023年は、関東大震災からちょうど100年が経つ年である。多くの犠牲者を出し、人々の心に深い傷痕を残したその日から長い年月が流れたが、その間にも日本は数多くの災害に見舞われてきた。私たちにとって災害は過去の出来事ではなく、いつ起こるかわからない未来の脅威でもあるのだ。
9月1日は、関東大震災が発生した日であるとともに、暦の上では二百十日に当たり、台風シーズンを迎える時期でもある。このことから、昭和57年から「防災の日」と定められ、9月1日を含む一週間は「防災週間」となっている。
地震や風水害等に対する心構えを育成する「防災の日」に、私たちにいまできる身近な防災について考えてみたい。
1.日頃からできる備えをしておく
災害時に何が必要かを知る
まず災害備蓄品には何が必要かを知ることが必要だ。首相官邸による『災害の「備え」チェックリスト』には、家具の転倒防止策や、備蓄品・非常用持ち出しバッグの中身リスト、安否確認の方法など、災害が起きる前にチェックしておきたい項目が並ぶ。「備えたいけれど、何から始めて良いかわからない」という方は、こちらのページをチェックしてみてはいかがだろうか。
持ち歩き防災ボトルを作ってみる
必要なものを知ったところで、実際に準備をしてみよう。なかでも簡単にトライできるのが、「防災ボトル」づくりだ。防災ボトルとは、下記の警視庁の投稿で紹介された、防災グッズを入れた持ち歩き用のボトルのこと。
災害は、いつどこで起こるかわかりません。そんな災害のときのために、私は外出する際、各種グッズをウォーターボトルに入れた「防災ボトル」を持ち歩いています。コンパクトに収納できるので、カバンやリュックサックに入れても気にならず、防災力を高めることができます。ぜひ、ご参考に! pic.twitter.com/YbGSGVe5iB
— 警視庁警備部災害対策課 (@MPD_bousai) April 10, 2022
500mlのウォーターボトルに、ホイッスルや圧縮タオル、ばんそうこう、ミニライトなどを入れていく。ベーシックな防災用品だけでなく、コンタクト、薬、生理用品といった個人的に必要になりそうなものを詰めておくのも良いだろう。
ボトルを始め、それぞれの防災用品は100円ショップで揃えられるものも多い。気軽な気持ちで、防災ボトルづくりにトライしてみてはいかがだろうか。
2.災害時に役立つツールや豆知識を知っておく
ここでは、災害が起きたときに使えるツールやアプリなどをいくつか紹介する。
Yahoo!の避難場所マップ
地震、洪水、火災などの「災害の種類」を選択し、市区町村(何も入力しない場合は現在地付近になる)を記入すると、避難場所のリストが表示されるWebサイト。
また、アプリの「Yahoo! MAP」(Android版)では、災害時や通信障害などの緊急時でも、オフラインでハザードマップや自宅周辺などの地図が確認できる「防災モード」がある。
NHK ニュース・防災
プッシュ通知などで最新ニュースや災害情報をいち早く届けるNHK公式のアプリ。マップ上で雨雲や台風、河川情報をチェックしたり、災害時に同時提供されるニュース放送を視聴したりできる。
ココダヨ
地震や大雨などの災害時に、家族の「現在地」と「安否」を確認できる、物流会社・株式会社ゼネテックによる防災アプリ。気象庁の緊急地震速報と連動しており、家族(登録したメンバー)の現在地付近で地震が発生した場合、瞬時に居場所を家族で共有することができる。チャット機能を災害用伝言板として活用することも可能。不審者が出現した際プッシュ通知を受け取る機能もあり、防犯にも役立つ。
▶ココダヨ
また、非常時に「明かりをとる方法」「食事をとる方法」などをご紹介したIDEAS FOR GOODの過去記事も参考にしてほしい。
3.日常に馴染むフェーズフリー製品を取り入れてみる
防災用品は、普段見えないところにしまっておき、非常時に取り出して使うのが一般的だろう。しかし、どこにしまい込んだかわからなくなってしまったり、いざというときにツールの使い方がわからなかったりするという可能性もある。
これに対し、近年、普段から使うものを非常時にも活用する「フェーズフリー」という概念に注目が集まっている。フェーズフリー製品なら、日常生活で使用するものなので、災害時にわざわざ探し出す必要がなく、難なく使いこなすことができるわけだ。
また、フェーズフリー製品には、お洒落な見た目のものも多く、家のインテリアや普段のファッションにもよく馴染んでくれる。隠したりしまい込んだりするのではなくあえてデザインを見せて置いておく「見せ置き」をする人も多いようだ。
ここでは、日常に馴染むフェーズフリー製品をいくつか紹介しよう。
アートトワレ
壁に掛けられるアートのなかに、非常用トイレキットが入っている。一見すると防災グッズとはわからないのがポイント。
effe alphabet ~お守りホイッスル~
普段はキーホルダーだが、非常時には笛になる。デザイン違いの綺麗なネックレス型ホイッスルも。
傘立てに立てられる防災セット「MINIMAID」
筒状になった、必要最低限のアイテムを収めたスタイリッシュな防災セット。ライト、ラジオ、ホイッスルなどが入っており、災害が起きてから避難所へ行くまでを守ってくれる。傘立てやコートハンガーに掛けられるミニマムな形状になっており、持ち出しやすい。
磁石でドアに貼り付けられる防災バッグ 「OTE」
玄関ドアに磁石で貼り付けておける防災バッグ。強力ヘッドライトや救急セットなどの防災グッズが13点入っている。スタイリッシュな見た目でインテリアの邪魔にもならないのが嬉しい。
▶OTE
4.防災のサブスクを取り入れてみる
防災の話をするとき、よく登場するのが「ローリングストック」である。これは、普段の食品を少し多めに買い置きしておき、そのうちの古いものから消費し、消費した分を買い足すことで、一定量の食品が家庭で常に備蓄されている状態を保つための方法だ。
しかし、買い足しを忘れてしまったり、古いものがどれかわからなくなってしまったりと難点もある。そこで役に立つのが、防災食品のサブスクリプションサービス。以下はどちらも、定期的に非常食を届けてくれるものだ。
ぼくまる防災ていきびん
3ヶ月に1度非常食と防災まめ知識を届ける定期宅配サービス。防災士オススメの非常食と防災知識を一緒に届けることで自助力向上をサポートする。このほかに防災士&日本レスキュー協会監修の小型犬向けペット防災定期便も。
引き出しや本棚にスタンバイ 非常食安心セット 9食(3日分)入りの会(フェリシモ)
いろんな味付けをしたアルファ化米が9食(3日分)入った非常食セット。アルファ化米とは、炊いたご飯を急速乾燥し、お湯でおいしく戻せるように開発されたもので、お湯が沸かせないときは水でも調理可能だ。アレルギー特定原材料の28品目不使用。
▶引き出しや本棚にスタンバイ 非常食安心セット 9食(3日分)入りの会(フェリシモ)
5.大切な人に「防災」を贈る
自分のために防災について考えようとしても、なかなか重い腰があがらないという人も多いはずだ。では、災害にきちんと備えておいてほしい大切なあの人に自分から「防災」を贈ってみるのはいかがだろうか。
下記の『いのちをまもる防災カタログギフト「LIFEGIFT」』は、防災グッズだけを集めたカタログギフトである。シンプルな消火器や、雨水などを浄水できるボトル、スマートな防災バッグなど、日常生活に調和するアイテムがラインナップ。大切な人を思う気持ちが伝わる贈り物だ。
▶いのちをまもる防災カタログギフト|LIFEGIFT(ライフギフト)
いまできる防災を
地震や集中豪雨など大きな災害があったとき、私たちは「備えなければ」と思う。だが、時間が経つにつれて、その意識は薄れていってしまうことも多い。
災害は、突如として私たちの前に立ちはだかるもので、コントロールすることはできない。しかし、いつか来るその日に向けて「備えること」は、私たちが主導権を持ってできることだ。
関東大震災から100年となる節目の年。これをきっかけにして、一つでも良い。小さくても良い。できることから始めてみよう。
【参照サイト】東京消防庁<消防マメ知識>防災の日と二百十日
【参照サイト】一般社団法人フェーズフリー協会