自然のリサイクル屋?建設の“ごみ”をバイオ素材に変えるキノコ

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引っ越しの際に、捨てる物の量の多さにショックを受けた経験がある人はいるのではないだろうか。引っ越すだけであれほどのごみが出てしまうのならば、建物を取り壊す際に建設廃棄物が大量に発生することも想像しやすいだろう。

実際に、建設業界は生態系の破壊、天然資源の消費、公害の発生など、環境にも大きな負荷をもたらしている。世界の廃棄物の約3分の1は建設関連で、その大部分は解体瓦礫として焼却や埋め立てで処分されている。

しかし、この今まで廃棄物としてしか扱えなかった解体瓦礫を循環できる仕組みが発見された。なんと、キノコの真菌がごみを“食べる”ことで建築廃棄物を分解できるというのだ。キノコが有機物を分解し、生態系を循環させていることは言うまでもない。その自然界にある仕組みを応用することで、キノコの菌糸体が人工化学物質を分解する酵素を生成することが判明した。

Image via Unsplash

今年4月、シドニー大学の研究者たちは、2種類の菌糸を用いて、ポリプロピレンの生分解に成功した。さらに、プラスチック以外にも、アスファルト、カーペット、ゴム、石膏といった一般的な建築資材を分解することが示されている。日常的に使われているが、今までリサイクルが困難だった素材を循環させることできるようになったのだ。

この生分解プロセスは、建設廃材に特定の菌類を導入し、菌糸を成長させることで酵素を分泌させ、素材を単純な化合物に分解する。菌糸はこれらの栄養素を吸収し、建築や断熱材として利用可能なバイオマテリアルを生成。これにより、廃棄物を新たな資源として再利用することが実現した。

この技術のパイオニアとして注目されているのが米国のスタートアップ企業「Mycocycle」だ。乾式壁を再利用可能なバイオ素材に分解することに特に力を入れており、試験プロジェクトでは、乾式壁廃棄物を“食べる”ように菌糸体を訓練した。菌糸体によって分解され、固まった素材は、充填材、断熱パネル、防音パネルとして再利用できる。この菌糸体複合材料は、プラスチック材料に取って代わるほどの耐久性を持つだけでなく、耐火性や耐水性にも優れている。自然界の力を借りることで、廃棄物ではなく、新たな素材として生まれ変わるのだ。

廃棄物変換における菌糸体の可能性は、建設業界における解体瓦礫の課題解決に近づく、大きな一歩かもしれない。このように、自然界の仕組みをじっくり観察することで、さまざまな課題解決の糸口が見えてくることがある。これまで人間が介入しなくてもバランスを保っていた大自然を敬い、“見習う”ことが現代社会には必要なのかもしれない。

【関連動画】BIOREMEDIATION BREAKTHROUGH: Mimicking Forests To Transform Construction Waste into Usable Materials
【参照サイト】Mycocycle公式サイト
【参照サイト】Trash-Eating Mushrooms Are Being Deployed to Eat Demolition Debris

Edited by Erika Tomiyama

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