「これを平等と呼びますか?」“ジェンダー先進国“アイスランドの女性が一斉に仕事をやめた日

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あなたの暮らす街で、明日すべての女性が仕事をしなくなったとしたら、どうなるだろうか?

「国全体が大きな混乱に包まれた」これは、2023年11月24日、アイスランドの市民が語った言葉だ。この日、アイスランドでは史上最大規模となる、女性の権利を求めるためのストライキが行われ、人口の4分の1となる約10万人がそれに参加したのだ。これにより、様々な業種の人が仕事を休み、家事を放棄し、国全体で学校や幼稚園までもが閉鎖された。

抗議者たちは、アイスランドの首都であるレイキャビク市の中心部に集まり、国の賃金格差を解消するよう求めた。2022年の統計によれば、アイスランドの女性の賃金は男性の賃金よりも平均で21%低いという(※1)。さらに、アイスランドの女性の40%が性暴力を経験したことがあるそうだ。また、ストライキの主催者は清掃や介護など、多くの女性が携わってきた仕事が依然として過小評価され、低賃金であると指摘する。

もともとアイスランドでは、1975年の「kvennafrí(女性の休日)」と呼ばれる祝日に、大きな女性ストライキが行われた歴史がある。そうした流れを経て、同国では世界で初めての女性国家元首が選出され(※2)、世界で初めて男女の賃金格差を法律で禁止するなど、画期的な変化がもたらされてきたのだ。実際にアイスランドを含む北欧の国々では、ジェンダー平等が進みつつあるというイメージを持っている人も多いだろう。

そうして状況は改善してきたように思われた。しかし、BSRB(アイスランド公共労働者連盟)のコミュニケーションディレクターであるフレイヤ・シュタインリムスドッティル氏はガーディアンの取材に対し、こう述べる。

「人々はアイスランドのことを、まるでそれが『平等の楽園』であるかのように話すことがあります。しかし、そんな『平等の楽園』で21%の賃金格差や、40%の女性が性的暴力を経験することはないはずです。それは世界中の女性が目指しているものではありません」

11月24日のストライキ当日、アイスランド国内の女性とノンバイナリーの人々は、有給および無休給の仕事を行わないようにと促された。その仕事にはもちろん、家事も含まれる。抗議運動には同国の首相カトリン・ヤコブスドッティル氏も参加し、この日は首相官邸の業務も停止された。国連の推定によれば、現在の進行速度ではこの目標を達成するのに300年かかるとされているが、ヤコブスドッティル氏はガーディアンの取材に対して「世界中の女性が完全な平等を実現するために300年も待たなければならないのは受け入れられない」と語っている。

ストライキはたった1日だったが、女性の仕事が、まち、職場、家庭にとっていかに大切かを実感させる機会になっただろう。

このストライキのスローガンに掲げられたのは、「Kallarðu þetta jafnrétti?(これを平等と呼びますか?)」。多くの女性やマイノリティが声を上げ、アクションしてもなお変わらない状況をいま一度振り返り、世界のあらゆる場所でこのことを問うていきたい。

※1 Statistics Iceland
※2 世界初の民選女性大統領の歴史つくったビグディス氏 アイスランド

【参照サイト】Iceland’s first full-day women’s strike in 48 years aims to close pay gap
【参照サイト】Iceland PM joins crowd of 100,000 for full-day women’s strike
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