気候危機を歌う曲が、英国チャートで史上初の一位を獲得

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恋の情熱を歌った曲、欲望を思うままに描いた曲、喪失感を吐露する曲……よく聞かれる音楽には、そのときの社会と人々の心情がよく映し出される。2023年12月、イギリスでiTunesチャートの一位に輝いたのは「気候変動」についての曲だった。

曲の名は「We Tried(私たちは試みた)」。曲を作ったのは環境保護団体Just Stop Oil(ジャスト・ストップ・オイル)の活動家であるLouise Harris(ルイーズ・ハリス)だ。歌詞は、気候危機の状況を表現し、私たちが行動しなければ訪れる未来に警鐘を鳴らす。We Triedは2023年11月20日にリリースされてから1週間でiTunesチャートの一位になり、それはDua Lipa(デュア・リパ)やThe Beatles(ビートルズ)以来の快挙だという。

また、We Triedはリリースされてから即座にグローバルのトップ40チャートに入り、2023年11月26日には27位、12月3日には26位になった。気候危機についての歌がこれほどの人気を博したのは初であり、ルイーズは収益をすべて気候変動対策に寄付する予定だ。

作曲をしたルイーズは2022年の冬、環境問題にかんする抗議活動により逮捕・拘留された過去がある。そして最近も、ジャスト・ストップ・オイル抗議活動の一環として英国のリシ・スナク首相の家の外で曲を歌い、逮捕された。そこで、執行猶予付きの判決に直面しているルイーズは、気候危機の激化と政府によって適切な措置がされないことに対する悲しみ、絶望、怒りを音楽で表現することにしたのだ。

We Triedは、未来から私たちに問いかける。「時間がなくなってしまった……ああ、私たちは状況の改善に努めたのに」と。近い将来、2024年を生きる現在の自分にそう語りかけるのではないかと不安になる。しかし、曲はこう締めくくられている。「取り返しのつかない気候の大惨事を避けるのに遅すぎるということはない」。曲を聴いていると、ネガティブな感情とポジティブな感情が交差する。

逮捕までされた“過激な”活動家の歌はいま、「音楽」という新しい表現方法で、全英そして世界中の人々の心を震わせている。現在の社会に響く「伝え方とはなにか」について考えさせられる事例だ。

【参照サイト】Louise Harris’ new single “We Tried” becomes first ever climate song to reach UK iTunes No.1
【関連記事】気候変動を考えるなら「詩」を詠もう。スコットランド生まれの意外な環境アクション

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