英国で太陽光パネルのサブスク開始。再エネ希望7,000世帯が順番待ちの人気サービスに

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年間を通して曇り空が多く、太陽の見える日が少ないイギリス。そんな国でも、太陽光パネルの設置はエネルギー価格の高騰に立ち向かう手段として注目されている。しかし、太陽光パネルをイギリスで実際に設置している家庭がどのぐらいあるのかというと、全体の4%未満だそうだ(※1)

英エネルギー安全保障・ネットゼロ省によると、これは主に初期費用の高さが原因だという。イギリスでは、太陽光パネル平均設置費用に10,270ポンド(約206万円)かかる。約半数の世帯の貯蓄額が5,000ポンド(約96万円)以下であることを考えると、厳しい数字だ(※1)。

イギリスの太陽光発電設置業者・Sunsaveは、2023年10月、イギリス最大の電力供給会社オクトパス・エナジーと提携。太陽光パネルを手頃な価格で利用できるようにすべく、サブスクリプションシステムを導入したのだ。

そのサービスは、ソーラー・バッテリー・システムの設計、供給、設置、監視(24時間365日)、メンテナンス、20年保証といったもので、長期にわたるシステムの不具合や故障に対する補償もカバーされる。また、物件を売却した場合は新しい住宅所有者に簡単に引き継ぐことができ、全額を繰り上げ返済する場合でも違約金は発生しない。

顧客は、家の広さと予算に合わせた最適なプランで月々の支払いをすればいいだけだ。たとえば、2寝室ある家の場合は毎月の支払いは69ポンド(約1万4,000円)から、5寝室ある大きな家の場合は毎月99ポンド(約2万円)からとなっている。

太陽光パネルの設置後、顧客はアプリで発電量と節約量を追跡することができる。個々の状況にもよるが、設置前と設置後の電気料金の請求額を比較すると、平均50%の節約ができるようだ。なにより、月々の支払いが低額であることから、電気料金の削減額で支払いをカバーできる利点は大きい。

太陽光パネル設置で寿命がきた後の処分を懸念する人もいるかもしれない。それについて同社はウェブサイトで、「最大95%がリサイクル可能で、これは一般的な製品よりもはるかに優れた割合だ」と記述している。現在は、7,000以上の世帯がSunsave社の待機者リストに登録して、太陽光パネルの設置を待っているという。

イギリス国内のエネルギー価格は、2030年代後半まで高止まりが予想されている(※2)。このサービスは、サブスクリプションのシステムによって、財布と環境に優しい仕組みを人々が選びやすなっていくだろう。

※1 Sunsave secures £5.4m to launch UK’s first solar subscription
※2 Power prices to remain elevated until late 2030s, report warns
【参照サイト】Clean energy that doesn’t cost the earth
【参照サイト】How many homes have solar panels in the UK?
【参照サイト】Can solar panels be recycled?
【参照サイト】Solar panel subscription: Your PV installation with no upfront investment
【参照サイト】Sunsave secures £5.4m to launch UK’s first solar subscription
【参照サイト】Sunsave solar installer review
【参照サイト】Accredited official statistics Solar photovoltaics deployment
【参照サイト】Sunsave powers up phone contract-style ‘solar subscription’
【参照サイト】Power prices to remain elevated until late 2030s, report warns 
【関連記事】シティ・オブ・ロンドンの英断。ロンドン中心部の電力を100%再生可能エネルギーに 
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Edited by Megumi

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