韓国・高級ホテルの家具を、低所得世帯に提供。行政がつなぐモノの支援

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高級ホテルでは、ゲストに最高の宿泊体験を提供するため、ホテルの内装にも多額の投資を行い、細部にまでこだわっている。通常、ホテルでは3~5年ごとに壁紙を取り換えたり、古くなった家具を新しいデザインのものと交換したりと、部屋のメンテナンスを行うという(※1)。しかし、そこで不要となった古い家具はどのように処理しているのだろうか。

韓国・ソウルでは、2015年以降、行政が高級ホテルで使われなくなった家具を回収し、高齢者やひとり親家庭、未就労者、ホームレスの人々に寄付するという取り組みを行っている。

2024年9月までに、ソウル市にある高級ホテル14軒から約18万点の家具、寝具、家電製品、台所用品、食器、衛生用品といった生活用品が、低所得世帯に寄付された。そのうち約12万点は、2,223の低所得世帯に提供されたという(※2)

ホテルの改装過程で出た寝具や家具、生活用品の数々は、一旦市役所などで保管された後、現場の必要に応じて配布される。配布される家具はすべて使用済みではあるが、丁寧に使い込まれた品質の良いものばかりだ。

2024年、ソウル市はこのプロジェクトに参加する高級ホテルをさらに10軒増やした。支援を受けたい家庭や機関は、市が運営する「ソウル・亀山郡ホテル供給リサイクル事業センター」のウェブサイトで支援物資の状況を確認し、配布を申し込むことができる。

今後、ソウル市はさらに家具の回収量を増やす予定だ。また、仕事を失い路上生活の危険にさらされている人々が自立して地域社会に貢献できるよう、同プロジェクト内で就労能力に応じた雇用を支援することも計画している。

企業としての社会的責任を重視して、物資を提供するホテルと、本当にものを必要としている人たちの声に耳を傾けるソウル市。両者の合同支援は、誰もが陥る可能性のある経済的な困難に対して、その場しのぎの我慢を要する物品ではなく、生活を少しでも安らかにするきっかけを生むかもしれない。

※1 Types of Hotel Renovations Hotels4Humanity.com
※2 Maeil Business Newspaper

【参照サイト】Luxury hotels donate used furniture for low-income families in Seoul
【参照サイト】14 Luxury Hotels Are Donating Outdated Furniture to Low-Income Families in Need
【関連記事】ベッドシーツを“着る”。オランダ発アップサイクルシャツプロジェクト「Archivist」

Edited by Megumi

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