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今や気候変動は、私たちの暮らしに着実に変化をもたらしている。地震や台風といった自然災害が多い日本で、豪雨などの異常気象が引き起こす災害が新たなリスクとなりつつあるのだ(※1)。
そうした災害への備えが、被害を経験した地域を中心に進んでいる。近年見られるのは、車高が高く災害時の悪路も走破できるSUV(スポーツ多目的車)の活用だ。2024年1月の能登半島地震を経験した石川県や、同年7月に豪雨被害を経験した山形県では、災害対応向けにSUV型の警察車両が導入された。
このようなSUVの能力を有効に引き出せる社会的な利用方法を模索するブランドの一つが、ジャガー・ランドローバー(JLR)社のDEFENDER。SUVの高い走破性が活きるような厳しい自然環境や災害現場で活動する、環境保護・人道支援団体を対象とした国内初となるアワードを実施するというのだ。
この記事では、そんなアワードの背景や想いを伝える。同時に、同社の環境問題に対する取り組みも見ていきたい。車の環境負荷が叫ばれる一方、日常の移動に車が欠かせない人や、車の運転を心から楽しんでいる人もいる中で、私たちは車の使い方とどのように向き合い直すことができるだろうか。
「DEFENDER AWARDS」から、車の社会的利用を考える
災害がおきた時、救助隊や警察が未舗装の山道やぬかるんだ道を通って災害支援に向かうことが想定される。こうした現場では、けん引能力や走破性が高く耐久性のある車が必要だ。DEFENDERは荷室が広く、最大3,500キロのけん引、水深90cmまでの渡河も可能だ。実際にDEFENDERは、岩だらけの急な坂や、ぬかるんだ川岸、密林などがある野生保護区や、起伏の激しい砂漠での走行テストを実施しており、どの環境でも万能な走破性を発揮した(※2, 3)。

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上記のような現場の人々を支えるため、環境保護団体や人道支援組織、生態系の回復などに取り組む小規模な非政府または非営利団体を対象としたアワード「DEFENDER AWARDS」を、同ブランドが世界展開として初めて実施する。2025年4月から世界7カ国で募集を開始。日本から1団体に支援金とDEFENDER車両1台、希望に応じて専門家からのメンタリング機会が授与される。
対象分野は、ブランド名のDEFENDERになぞらえた「Defenders of the Wild(絶滅危惧種の保護・保全)」「Defenders of Humanity(社会的弱者の支援)」「Defenders of the Land(環境保護・保全・再生)」そして「Defenders of the Sea(海洋種・沿岸環境の保全・回復)」の4カテゴリだ。これらの分野で現在活動しており、DEFENDERが現場に加わることで支援や保全活動の幅が広がるような小規模な団体を選出していくとのこと。
これまでにDEFENDERは、1954年から英国赤十字との協力を開始し、ドバイとケニアへの派遣を皮切りに累計500台以上を無償で提供。アフリカで5,000万ヘクタール以上の土地で絶滅危惧種を保護する非営利団体・Tuskとも、過去20年にわたって協働を続けてきた。車が地域活動の「生命線」となるような組織を支えてきたのだ。こうした長期的な連携を背景に、今回の国際アワード設立に至ったという。
Tuskが活動するフィールドの一つが、1万4,000ヘクタールにおよぶケニアのボラナ野生保護区。ここはアフリカの代表的な保護区であり、クロサイやライオンなどの絶滅の危機に瀕している種も生息するサバンナ地域だ。そんな荒野が広がるエリアで、DEFENDERは重い荷物を乗せたまま複雑な地形や川をスムーズに走り抜き、木材を載せたトレーラーをけん引。その高い耐久性によりレンジャーたちがライオンの群れを安全に追跡できるなど、日々の活動の一助となっているのだ。
同組織の創設者であるチャーリー・メイヒュー氏は、DEFENDERとの協働についてこう振り返っている。
「パートナーシップを通して20年以上、DEFENDER車両を頼りにしてきました。新たな『DEFENDER AWARDS』は、資金と専門知識、そして頑丈で高性能なDEFENDERの恩恵を受けることができる貴重な機会となります」

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またDEFENDERの担当者は、このアワードを世界中の自然保護や人道支援のヒーローたちへの支援と位置付け、IDEAS FOR GOODの取材で次のように語った。
「地球規模の問題を理解し、その問題に取り組んでいる組織を見つけることは簡単です。しかし、地域の問題を理解し、支援する方法を見出すことははるかに困難であるからこそ、『DEFENDER AWARDS』が、このような課題の解決に役立てることを願っています」
同ブランドは本企画について、現場に立つ人々から社会環境課題を学ぶ場とも捉えており、一方的な授与だけで終わらない関係構築に繋げることを目指すという。多数派である街中のドライバーと比べて、悪路を乗り越え活動する非政府、非営利組織の声はブランドに届きにくいはず。環境破壊や災害の最前線に立つ人々が見据える課題が伝わることで、企業発のさらなる課題解決を後押しするだろう。
SUVのEV化は、環境問題にどうアプローチできるか
一方、SUVは日常的な移動手段としても人気を博す。世界のSUV販売台数は2010年から2023年にかけて約3.7倍に増加し、販売台数全体の48%を占めて過去最高となった(※4)。さらに、世界で走行している車のうち4台に1台はSUVであり、そのうち5%が電動SUVだという。
しかし、SUVの市場拡大は、環境負荷の増加という課題も伴っている。平均的な中型車と比べて、SUVは200〜300キロ重いためCO2排出量が20%多く、製造に必要な金属やエネルギー量も多い(※5)。そのため、フランス・パリでは2024年2月の住民投票の結果、SUVの駐車料金を3倍にする方針が固まるなど(※6)、SUV規制の検討が増えている。SUVが主に大型車であることへの懸念もあがっているようだ。
ただしその人気は、SUVの環境負荷の軽減が進むことで、逆に大きなインパクトを生む可能性があることも意味している。気候変動対策としては、SUVの環境性能を改善し、より持続可能な設計へ変化させることも重要ではないだろうか。
DEFENDERを展開するJLR(ジャガー・ランドローバー)社は、2021年に掲げた「REIMAGINE」戦略を軸としてJLR車両の環境負荷の削減も進めている。「2039年までに温室効果ガスの排出量ネットゼロ」を最終目標に、2030年までにスコープ1・2において46%、サプライチェーンと車両の使用を含むスコープ3において1台あたり54%のCO2e排出削減を目指す。後者のうち60%を、車の使用における排出量の削減によって実現する予定だ。
さらに、2030年までに全モデルでのBEV(バッテリー式電気自動車)のラインアップを目指す。スコープ3に関して、基準年では排気管からの排出量が全体の61.7%を占めたことから、「車両の電動化は科学的根拠に基づく目標とネットゼロの野心の両方を達成する上で不可欠」と位置付けているのだ。
また同社は23/24年度、1年にわたってサーキュラーエコノミー戦略を練ってきた。その中で、2028年以降新製品のリサイクル素材の使用量を2〜3倍、29/30年度までに埋立廃棄物ゼロ、サブスク事業の強化などと並んで、SUVの電動化をめぐる課題にも触れている。
家庭から出るアルミ廃棄物のアップサイクルや、ブロックチェーンを活用した資源調達、使用済み車両の素材でのシート製造に取り組んできた同社が、バリューチェーン全体の環境負荷削減にどうアプローチするのか、引き続き注目していきたい。
同社の担当者は、IDEAS FOR GOODの取材に対してこう語った。
「『REIMAGINE』戦略とは、イノベーターとの共同開発、戦略的コラボレーションの展開、そして当社の事業全体におけるイノベーションと電動化の促進を意味します。Tusk、赤十字社、そして将来の『DEFENDER AWARDS』受賞団体といった組織のパートナーや専門家と協力することは、『REIMAGINE』戦略を実現する上で重要な要素になります。ラグジュアリーと社会への影響は、トレードオフであってはならないのです」
環境負荷を克服する挑戦は、長い道のりだ。その中でJLRの「REIMAGINE」戦略やアワードは、現状と向き合い、人と車がより良い関係を築く未来へのカギとなるだろう。車本来の力を引き出す同社のアクションが、業界をけん引する変革になることを期待したい。

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車に「求める役割」から再設計を試みる
私たちは、離れた場所への快適な移動や、重いものの運搬、悪路の移動や災害時の救援活動など、さまざまな場面で車の支えを必要とする。現代では、車は単なる実用的な道具としての役割を超え、心地良い運転やデザインを楽しみ、情緒的な価値も持つ存在に変化してきた。
ただし、車が環境を損なわず社会を豊かにする存在であるには、そのデザインや性能が、目的を達成するのに十分なレベルを超えすぎないことが大切である。そして、私たちがそれぞれの目的や生活に合った車を選択することも必要なのだ。
だからこそ、今一度考えてみたい。車の役割や影響は、私たちがそれをどのような場面で、いかに活用するかによって大きく変わる。車があるからこそ現地に赴いて活動し、実現できる支援や変化もあるのだ。
「DEFENDER AWARDS」を通して、車が、土地や海、野生動物、地域コミュニティを支える人々の力になり躍動できることを願う。
「DEFENDER AWARDS」募集要項
イギリス発のアドベンチャー・ブランドDEFENDERが、各地域の小規模な自然保護団体や人道支援団体のヒーローたちを支援するために、新たに「DEFENDER AWARDS」を立ち上げ。総額約1億円相当の支援により、同ブランドは英国赤十字社との70年にわたるパートナーシップ、アフリカ自然保護慈善団体・Tuskとの20年にわたる協力関係に続き、自然保護活動と人道活動に対する揺るぎない支援を拡大します。
「DEFENDER AWARDS」では、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、日本、オーストラリア、南アフリカから選ばれた7つの受賞団体を表彰し、賞を授与します。受賞者にはそれぞれ10万ポンド(日本は2,000万円)の支援金、アクセスが困難な場所において最前線で重要な役割を担う頑丈で高性能なDEFENDER車両、専門家からのメンタリングサポートが提供されます。
審査プロセスでは、まず各国のパネリスト(審査員)が4つのカテゴリ別にそれぞれ2団体を選考し、56(8団体×7カ国)の候補者リストを作成。その後、世界で活躍する自然保護と人道支援の専門家をはじめとするグローバルパネリストたちが、各国から1団体ずつ、つまり計7団体を最終受賞団体として選出します。
また、5月21日(水)11:00〜12:00にはオンラインでの応募説明会も予定されているので、参加希望の方は担当者(da_japan@hitoshizuku.co.jp)までご連絡ください。
▼募集要項
募集期間 | 2025年4月15日(水)11:00〜6月17日(火)8:59 ※ いずれも日本時間 |
応募資格 |
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応募カテゴリ |
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受賞団体へのサポート |
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応募方法 | 公式ウェブサイトよりご確認ください |
※1 日本の気候変動 —大気と陸・海洋に関する観測・予測評価報告書—|環境省
※2 新型「DEFENDER」のフィールドテストが完了し、最新動画を公開 ~ケニアのボラナ野生保護区でライオン保護活動をサポート~
※3 新型「DEFENDER」の走行テストをドバイの極限環境下で実施~国際赤十字・赤新月社連盟との65年にわたるパートナーシップにより実現~
※4, 5 SUVs are setting new sales records each year – and so are their emissions – Analysis|IEA
※6 仏パリ、SUVの駐車料金3倍に 住民投票で賛成多数|日本経済新聞
【参照サイト】Annual Report 2024|JLR Corporate Website
【参照サイト】パリ市、SUVの駐車料金を大幅値上げへ 大型車に反発|日経FTザ・ワールド
【参照サイト】止まぬ大型車人気、世界的なSUVブームは気候対策にどう影響するか|MIT Technology Review