「着画」投稿のハードルを下げる。AIアバターが消費者の古着出品を安全に

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今日では個人売買のプラットフォームとして、頻繁に利用されているフリマアプリ。商品の魅力を伝えるために、あなたならどんな工夫をするだろう。サイズ感や着用イメージが分かるように「着画」、つまり自分または誰かが実際に商品を着た写真を投稿するかもしれない。

しかし、着画を投稿すれば、販売者の身体的特徴や顔がインターネット上に晒されることになり、特に女性はセクシャルハラスメントや無断転載などの被害に遭うリスクがある。こうした問題は、Vinted(ヴィンテッド)などの人気セカンドハンドプラットフォーム上でも深刻化している。商品以上に「自分」が見られる対象になることへの警戒から、女性販売者が投稿をためらうケースが増えているという(※1)

こうした問題への解決策として、AI技術を活用して新たなアプローチを模索する企業が現れた。ウィーン発のスタートアップ企業・Minimist(ミニミスト)は、販売者が提供する写真や情報をもとに、AIでアバターを生成し、そのアバターによる着画を作成するサービスを展開している。

Minimistの創設者たち|Image via Minimist

販売者本人の姿を出さずに、服のシルエットやスタイルを視覚的に伝えることができ、ハラスメントや肖像権侵害のリスクを避けつつ、購買を促す効果が期待されている。

このAIアバター技術は、元の製品写真や着用画像が手元にない場合にも役立つ。タグ情報や写真一枚からAIがモデルアバターを生成してくれるため、自分で撮影する必要がなくなるのだ。さらに、撮影スキルや環境が整っていない人でも手軽に高品質な着画を作れることから、着画が難しいと感じていた人でも利用でき、プラットフォームの参加者が増える可能性もある。

私たちはこうした技術の進化と共に、自分自身の見せ方や守り方を改めて考える時代に来ているのかもしれない。たとえば、就職活動やクリエイターのポートフォリオ管理など、顔や体を出すことにためらいがあるけれど、自分の仕事や作品には「人となり」も反映させたい──そんな場面で、AIアバターは有効な選択肢になり得るだろう。

ネット上のリスクを回避しながら、実用的かつ魅力的に商品を紹介できるこの方法は、AIの“良い”使い方の一例と言えるだろう。安全性と効率性を両立させたこの仕組みは、テクノロジーが人の選択肢を広げる力を持っていること、技術そのものに善悪はなく、常に私たちの「使い方次第」だということを再認識させてくれる。

※1 “Girls of Vinted”: Nutzerinnen der Kleiderbörse systematisch belästigt Der Standard
【参照サイト】Minimist
【参照サイト】Recommerce: Wiener Startup stellt AI-Avatare gegen sexuelle Belästigung zur Verfügung 
【参照サイト】“Girls of Vinted”: Nutzerinnen der Kleiderbörse systematisch belästigt
【参照サイト】AI avatars help women sell clothing without risking harassment or image theft
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Edited by Megumi

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