Google検索結果の「偏り」を教えてくれるブラウザ拡張機能

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「インターネット上で、比較的信頼できる情報源を知りたい」「自分が収集する情報が偏っているか、偏っていたらどうしたらいいのか気になる」と思ったことはないだろうか。

総務省の2019年の情報通信白書によると、10代や20代といった若年層においても、テレビや新聞への信頼度はインターネットを上回っている(※1)。また、「世の中の言論に中庸がなくなり、右寄りか左寄りか極端になってきている」と感じている人が30%近くいるという研究結果がある(※2)

このような状況のなか、インターネット上の誤情報の拡散と戦い、人々が偏りなく情報収集する力になろうとしているのが、Google Chromeのブラウザ拡張機能「The Newsroom」だ。2022年5月現在は、ベータ版が提供されている。

The Newsroomをインストールし、検索エンジンで単語を検索すると、検索結果に表示される記事や情報源が信頼度に応じて色分けされる。

たとえば、「climate change(気候変動)」と検索して表示される、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)のサイトには青色のマークが付き、信頼度は「高い」と表示される。同時に、その情報源が持つ政治的バイアスも分かる仕組みで、IPCCの場合は「バイアスが非常に少ない」と表示される。

Image via The Newsroom

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The Newsroomは、記事や情報源の信頼性を評価するのに「説明可能なAI」を使っているという。説明可能なAIとは、AIがなぜその答えを出したのか、説明できる能力が高いAIのことだ。

The Newsroomの共同創業者であるペドロ・パンプローナ・エンリケ氏は、ペイパルでデータアナリストとして働いたり、LinkedInでデータサイエンスの職に就いたりした経験があるという。

同社はブラウザ拡張機能の他に、ニュースの背後にある文脈を学べるモバイルアプリを提供することも、視野に入れている。同アプリはユーザーの関心に合わせて、毎朝5つのニュース記事の要約を配信。さらに、メディアによるニュースの報じられ方の違いや、ニュースに書かれている出来事が起きるまでの歴史的背景を紹介するという。

Image via The Newsroom

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Google Chromeのブラウザ拡張機能は改良が続けられており、ベータ版を使った人は、同社にフィードバックを送ることができる。自分が得ている情報の信憑性が低かったり、偏っていたりするのではないかと心配な人は、The Newsroomの試みをサポートしてみてはどうだろうか。

※1 総務省|令和元年版 情報通信白書|各種のメディアに対する信頼の状況
※2 総務省|令和元年版 情報通信白書|インターネットによる世論の二極化についての定量的な研究結果
【参照サイト】The Newsroom – Fighting misinformation. Promoting online plurality.
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