ボタン1つでデジタル世界を遮断。エシカルなスマホ・Fairphoneの新モデル

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社会環境に配慮したスマートフォンの先駆者、オランダ・Fairphone。スマートフォンの製造は、資源採掘や短い製品寿命など、人権や環境に与える影響も大きい中で、同社は、搾取なく修理・交換しやすいスマートフォンを社会に送り出してきた。

そんなFairphoneが、2025年6月25日に最新モデル「The Fairphone (Gen. 6)」を発表した。

過去モデルから引き続き特徴となるのは、モジュール式の本体。ディスプレイやバッテリー、USB-Cポートなど計12個のパーツで構成され、ドライバーで7本のネジを外せば簡単にバッテリーを交換できる。今回新たに背面の別売りアクセサリーとして、スマホリングやカードホルダー、ストラップ付きのプレートが登場。パーツ交換と同様にネジだけで取り付けが可能だ。

販売価格は599ユーロ(約10.1万円)。2023年8月に発売されたFairphone 5と比較すると、エネルギーの消費効率を示したエネルギーラベルはBからAに昇格。重量は212グラムから193グラムへ軽量化、ディスプレイは6.46インチから6.31インチへと縮小した。前面のカメラ性能は50メガピクセルから32メガピクセルに変更されたため、性能の低下が指摘されている(※)

Image via Fairphone

筆者作成|Image via Fairphone

今回初めて搭載された機能が「Fairphone Moments」。スマートフォン側部に蛍光色のボタンがあり、これを一押しするだけでカスタムのフォーカスモードに切り替え、アプリや連絡先へのアクセスを自ら制限できる。通常、アクセス設定を変更するにはスマートフォンを開かなくてはいけない一方、The Fairphone (Gen. 6)ならワンクリックでデジタル世界から距離をとることも可能だ。

これは、人間の能力を奪わず自立的な暮らしを支える、コンヴィヴィアルな要素を持ったテクノロジーとも言えるだろう。スマホやSNSに依存しやすい現代において、こうした「デジタルと距離をとりやすいデザイン」がブランドから提案される意義は大きいだろう。

共同創設者のMiquel Ballester氏は、ローンチ動画「Fairphone 6やFairphone Proではなく、ただ単にThe Fairphoneと呼んでいます。これは、時代遅れにならないためには常に新しいテクノロジーと置き変わる必要があるという考え方からの転換の合図なのです」と語った。これまで「Fairphone 5」など数字が明記されてきたが、今回あえて「Gen. 6(第6世代)」をかっこ書きにしているのはそんな想いからなのだ。

今、私たちはどんな暮らしを作りたくて、モノを所有するのだろうか。スマートフォンという身近なデバイスを通じて、所有をめぐる問いに改めて向き合ってみたい。

The smaller Fairphone 6 introduces swappable accessories|The Verge

【参照サイト】Switch to fair. Switch to The Fairphone (Gen. 6)|Fairphone
【参照サイト】Switch Day | Launch Event: The Fairphone (Gen. 6)|Fairphone YouTube
【参照サイト】The smaller Fairphone 6 introduces swappable accessories|The Verge
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