クィアとは?
クィア(Queer)とは、性的マイノリティや、既存の性のカテゴリに当てはまらない人々の総称である。性自認(自分で認識している自分の性)や、性的指向(好きになる性)が、その人のいる時代や文化のなかでマイノリティとされるときに使われることが多い。「クィア・ジェンダー」とも呼ばれる。
もともとは、英語で「不思議な」「風変わりな」「奇妙な」といった意味合いを持つ言葉だった。性自認といえば「男か女」、恋愛といえば「異性愛」以外への理解がなかった時代では、変態という意味を込めた同性愛者への蔑称でもあったのだ。しかし現在では、性的マイノリティ当事者が自分から、ポジティブな意味でクィアという言葉を使うことが増えている。
自分の性を定めきっていない、定めていない、揺らいでいる「クエスチョニング(Questioning)」と同様、LGBTQの「Q」にあたる。
クエスチョニングやXジェンダー、ノンバイナリーとの違いは?
クィアと関連した言葉として、クエスチョニングやXジェンダー、ノンバイナリーなどの言葉が挙げられる。それぞれの特徴と違いを見ていこう。
■ 性的マイノリティを包括する言葉
- クィア:すべての性的マイノリティのこと。クエスチョニングと同じくLGBTQの「Q」にあたる
■ 性的マイノリティに関して、違いを持つ言葉
- クエスチョニング:性自認・性的指向の2つが定まっていない、あえて決めていない
- Xジェンダー:自身の性自認を「男性・女性」という二つの枠組みに当てはめない。性的指向に関しては不問
- ノンバイナリー:自身の性自認を「男性・女性」という二つの枠組みに当てはめない。さらに、どの性別として振舞うか、どのような恰好をするかなどの「性表現」も従来の性の枠組みに当てはめない。性的指向に関しては不問

先述したように、クィアは、ヘテロセクシュアル(異性愛者)、シスジェンダー(出生時に割り当てられた性別と自身の性自認が一致している)以外のすべての性的マイノリティを指す言葉だ。その点では、クエスチョニングやXジェンダー、ノンバイナリーすべて「クィア」という一語の中に含まれていると言える。
近年問題視されているクィアベイティングとは?
クィアベイティングとは、実際に同性愛者やバイセクシャルではないのに、性的指向の曖昧さをほのめかし、世間の注目を集める手法である。
性的マイノリティや、既存の性のカテゴリに当てはまらない人々の総称であるクィアと釣りなどに使うエサを意味するベイト(bait)を組み合わせた言葉だ。由来の通り、同性愛者やバイセクシャルであるかのような匂わせをすることで、LGBTQ+の人々をはじめ、世間の人々をひきつけようとするマーケティング・ブランディング手法である。映画やアニメなどの作品で、実際にそのような関係性がないにも関わらず、キャラクター同士の同性愛的な関係性を示唆するような描写を意図的に入れることなども含まれるとされる。
LGBTQ+が注目を浴びる昨今、クィアベイティングが批判を浴びており、炎上要因にもなりえる。批判される理由は、同性愛者やバイセクシャルのアイデンティティを商品化し、注目を集めるための釣りエサにしている点にある。
【関連記事】クィアを偽り、世間の注目を集めるクィアベイティングとは?
映画で知るクィア
クィアを知るには、性をテーマにしたクィア映画を見ることも一つの手だ。ここでは、代表的なクィア映画とされる作品をいくつか紹介する。
わたしはロランス(2012)
カナダのグザヴィエ・ドラン監督による長編3作目。90年代のカナダを舞台に、心と出生時に割り当てられた性別の不一致に苦しむ男性とその恋人の10年を見つめたヒューマン・ラブストーリー。第65回カンヌ国際映画祭のある視点部門で上映され、スザンヌ・クレマンが同部門の女優賞を受賞。さらにクィア・パルム賞も獲得した。
ムーンライト(2016)
バリー・ジェンキンス監督作、マイアミを舞台に自分の居場所とアイデンティティを模索する少年の成長を描いたヒューマンドラマ。第89回アカデミー賞で作品賞ほか、脚色賞、助演男優賞の3部門を受賞した。
▶映画予告
アデル、ブルーは熱い色(2013)
アブデラティフ・ケシシュ監督・脚本・製作によるフランスの恋愛・ドラマ映画。青い髪の美大生エマと出会い、運命的な恋に落ちた女性アデルの情熱的な人生を描く。2013年・第66回カンヌ国際映画祭パルムドール受賞作。
君の名前で僕を呼んで(2017)
1980年代、北イタリアの避暑地を舞台に、17歳と24歳の青年同士のひと夏のエピソードを描いたラブストーリー。アンドレ・アシマンの同名小説を原作にジェームズ・アイボリーが脚本を執筆、ルカ・グァダニーノ監督がメガホンをとった。第90回アカデミー賞で作品賞ほか4部門にノミネートされ、アイボリーが脚色賞を受賞。
クィアの人々に聞く、アイデンティティ
性に関する素直な反応など、人と人のコミュニケーションに関する社会実験のような動画を投稿しているCutの動画(英語)「Queer People 16-65 Talk About Identity | Cut」では、アイデンティティに関するさまざまな質問に対し、16歳から65歳のクィアを自称する人々が赤裸々に語っている。
たとえば、以下のような質問に対する回答が見られる。
Q. あなたにとってのChosen Family(=血縁ではなく、自らの意志でメンバーを構成した家族)とは?
――A. どんな自分でも愛してくれる人たち。
Q. 協力しあえるクィアコミュニティが周りにあると思える?
――A. そう思います。オンラインの方が探しやすい。
クィアに関する考えや、性自認、性的指向、性表現などは十人十色だ。自身をカテゴライズするのが苦しいと感じるのであれば、何か一つに定める必要もない。自分は性的マイノリティではないけれど、LGBTを含めたクィアの人々をサポートしたい「アライ」となることもできる。
▼ クィアにまつわる課題についてもっと知る
【関連記事】クエスチョニングとは・意味
【関連記事】ノンバイナリーとは・意味













