Xジェンダーとは・意味
Xジェンダーとは?
Xジェンダーは、性自認(自分の性別をどう認識しているか)が、男性にも女性にもはっきりと当てはまらない人のことを指す。2021年、アメリカでパスポートなどの身分証明書の性別欄が「男性・女性・X(どちらでもない)」から選べるようになったことから、日本でもこの言葉が広がりつつある。
渡辺隆行『男女どちらかに規定されない X ジェンダーの多様な性自認に起因する被服体験の質的分析』(繊維製品消費科学63 巻 1 号 p. 35-49、2022年)によると、Xジェンダーは日本独自の言葉である、と書かれている。Xジェンダー当事者のための会員制自助サークル「label X」が編集と著作を務めた『X ジェンダーって何?―日本における多様な性のあり方』(緑風出版、2016年)では、Xジェンダーを以下のように定義する。
性自認を表す言葉の一種で、出生時に割り当てられた男性もしくは女性の性別のいずれかに二分された性の自覚を持たず、自己の性別に関し、男女どちらでもない、あるいは男女どちらでもある、さらにはそれすらもどちらでもないといった認識を自己の性に対してもっている人々のことを指す日本独自の呼称。
海外においてはX genderという統一した呼び方はなく、英語でgenderqueer、therd gender、non-binary、gender fluid、androgynousなどの表現が、男女二分化の枠に収まらない人の呼称として扱われている。
Xジェンダーは様々な性自認の人を含む
上記でも述べたように、Xジェンダーは男女二分化の枠に収まらない人を表す言葉である。そのため、Xジェンダーといっても様々な性別の捉え方がある。Xジェンダーには多くの場合、中性、両性、無性、不定性という4種類のアイデンティティがあげられる。
- 中性:男性と女性という2つの性の中間地点にあると自認している
- 両性:女性でもあり、男性でもあると自認している
- 無性:女性でも、男性でもないと自認している。どちらもしっくりこない
- 不定性:その時々によって性自認が変わるなど、流動的。さまざまな性の間で揺れ動いている
Xジェンダーと関連した言葉との違い
Xジェンダーと関連した言葉として、トランスジェンダーやクエスチョニング、ノンバイナリーなどの言葉が挙げられる。それぞれの特徴と違いを見ていこう。
■ 性的マイノリティを包括する言葉
- クィア:すべての性的マイノリティのこと。クエスチョニングと同じくLGBTQの「Q」にあたる
■ 性的マイノリティに関して、違いを持つ言葉
- トランスジェンダー:性自認と体の性が一致していない状態
- クエスチョニング:性自認・性的指向の2つが定まっていない、あえて決めていない(Xジェンダーの不定性と似ている)
- ジェンダーフルイド:性が流動的。状況や時間によって、性が変わる。
- ノンバイナリー:自身の性自認と性表現を「男性・女性」という二つの枠組みに当てはめない
トランスジェンダーが、体の性とは違うどちらかの性を強く認識している人が多いことに対して、Xジェンダーは自分の性別を定義していないという違いがある。
また、クィアはヘテロセクシュアル(異性愛者)、シスジェンダー(生まれたときの性と自身の性自認が一致している)以外のすべての性的マイノリティを指す言葉だ。その点では、クエスチョニングやXジェンダー、ノンバイナリーすべて「クィア」という一語の中に含まれていると言える。
Xジェンダーとノンバイナリーの違い
先でも述べたように、海外においてはX genderという統一した呼び方はなく、男女二分化の枠に収まらない人の呼称としてnon-binary(ノンバイナリー)が用いられることがある。
ノンバイナリーとは、自分の性自認(=体の性ではなく、自分で認識している自分の性)が男性・女性という性別のどちらにもはっきりと当てはまらない、または当てはめたくない、という考えを指す。「第三の性」「クィア」とも呼ばれる。
Xジェンダーとノンバイナリーには共通している部分もあるが、Xジェンダーは主に性自認に焦点を当てており、男女の枠組みにとらわれないとされるなか、ノンバイナリーは性自認に加えて性表現も既存の枠組みに当てはまらないとされている。ただし、ここに関しては人それぞれ定義を持っている。
Xジェンダーとクエスチョニングの違い
クエスチョニングとは、自身の性自認(自分として認識している性)や性的指向(好きになる相手の性)などをまとめた「SOGI」が定まっていない状態の人を指す。
クエスチョニングはXジェンダーの不定性とよく似ているが、強いて説明するならば、Xジェンダーとクエスチョニングの違いは以下の通りだ。
自己の性に対して男女に二分された性の自覚をもたないことが、
- Xジェンダー:定まっている、決めている・分かっている
- クエスチョニング:定まっていない、決めていない・分かっていない
性別欄「X」の普及
2021年10月、アメリカは性別欄に「X」という選択肢を加えたパスポートを初めて発行した。
アメリカ自由人権協会(American Civil Liberties Union、ACLU)が2023年3月に公開した記事によると、ACLUの事務局があるニューヨークでは、年明けとともに、性別または性情報を収集するすべての機関に性別欄「X」を設けることを義務付ける州法が、州機関の大部分で施行されたことが記されている。
またワシントン州でも性別「X」を含む性自認の呼称を性別表記に追加している。ワシントン州の保険医療局(The Health Care Authority、HCA)は、男性でも女性でもない性別を意味する「X」の他、ノンバイナリーやアジェンダー、ジェンダー・ノンコンフォーミングなどを追加した。ワシントン州では、2019年後半に免許局(the Department of Licensing、DOL)が運転免許証の性別表記を「X」に変更することを許可している。
ワシントン州のHCAのウェブサイトでは、性別欄「X」を設けることで、すべてのワシントン州住民が一貫性のある身分証明書類を持つことを保証できる、とある。またあらゆる性別の住民が必要な公共サービスを利用することに役立ち、暴力、差別、ハラスメントのリスクを軽減する可能性がある、とも書いている。
ACLUの記事では、性別欄「X」を設けることの重要性について、ある研究で自分の性自認を正確に反映した身分証明書を1つでも持っているトランスジェンダー(ノンバイナリーも含む)の自殺未遂が劇的に減少したことを記している。
見た目では「Xジェンダーかどうか」はわからない
人のSOGI(性自認・性的指向)は、相手が自分に対してカミングアウトするまではわからない。服装や髪形や一つの言動など、特徴的でわかりやすいラベルがついているわけでもない。そしてXジェンダーは「自認する」ものなので、本物も偽物もいない。
最近では個人の発信力が高まり、自身の性自認や性的指向に対するカミングアウトをする芸能人も出てきている。さまざまな情報が流れるなかで、注目されつつあるXジェンダーという考えは、知っておいて損はない。
【参照サイト】The U.S. issues the first passport with a nonbinary gender ‘X’ option
【参照サイト】男女どちらかに規定されない X ジェンダーの 多様な性自認に起因する被服体験の質的分析
【参照サイト】X Gender Marker Available on U.S. Passports Starting April 11 – United States Department of State
【参照サイト】Why X Gender Markers Matter | New York Civil Liberties Union
【参照サイト】Gender identity information | Washington State Health Care Authority.
【参考文献】label X編著『X ジェンダーって何?―日本における多様な性のあり方』(緑風出版、2016年)
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- FTSE4Good Index(フッツィー・フォー・グッド・インデックス)
G
- GHG排出ピークアウト
- GNR革命
- GovTech(ガブテック)
- Green Climate Fund(緑の気候基金)
- Green Dating
- GRI(Global Reporting Initiative)
H
I
- IaaS(Infrastructure as a Service)
- IIRC(国際統合報告評議会)
- Inner Development Goals(IDGs)
- InsurTech(インシュアテック)
- Internet of Abilities(能力のインターネット)
- Internet of Animals(動物のインターネット)
- Internet of Behavior(行動のインターネット)
- Internet of Customers(顧客のインターネット)
- Internet of Human(ヒトのインターネット)
- Internet of Skills(スキルのインターネット)
- Internet of Things(モノのインターネット)
- IPCC
- ISSB
- IUU漁業
J
L
- LAC(Living Anywhere Commons)
- LCA(ライフサイクルアセスメント)
- LEAPアプローチ
- LEED(Leadership in Energy and Environmental Design)
- Learning by doing
- Less is more
- Life-Centered Design
- LOHAS(ロハス)
M
- MaaS(Mobility as a Service)
- MAPA(Most Affected People and Areas)
- MENA(ミーナ)
- Medtech(メドテック)
- MDGs(ミレニアム開発目標)
- MSC認証
- MtF(Male to Female)
N
O
P
Q
R
S
- SaaS(Software as a Service)
- 里山イニシアチブ
- SASB
- SBT(Science Based Targets)
- SBTs for Nature(Science-Based Targets for Nature)
- SDGsウェディングケーキ
- SDGsウォッシュ
- SFDR
- Shecession
- Shecovery
- SOGI(ソジ)
- SPO(Sustainable Public Equity Offering)
- STEAM教育