釣りタイトルから社会をよくする「Clickbait for Good」

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興味深いタイトルにつられて思わずクリックしてみたら、全然中身がない記事でがっかりした。ネットサーフィンが好きな方なら、誰しもが一度はこんな経験したことがあるのではないだろうか。

このように、読者の興味を惹くキャッチーなタイトルで、中身のない記事への誘導を図る手法を「クリックベイト(Click bait)」と呼ぶ。いわゆる「釣りタイトル」というものだ。クリックベイトはインターネットの世界で最も忌み嫌われる行為でありながら、最も頻繁に行われている行為の一つでもある。

しかし、このクリックベイトを逆手にとって、もっと世の中の役に立つことができないだろうか。そんな考えから生まれたのが、ニューヨークのマーケティングエージェンシー、RXM Creativeがローンチしたウェブサイト「Clickbait for Good」だ。

「Clickbait for Good」のコンセプトは、クリックベイトの手法をチャリティーに活用するというもの。サイト内には思わずクリックしたくなるような見出しが用意されており、その見出しをクリックするとチャリティーのページに遷移する。読者はストーリーを読みながらそのチャリティーが解決したい課題について深く理解し、共感できるようになっている。

例えば「THIS FAMOUS HAIR STYLIST HAS ONE LITTLE TRICK(この有名なヘアスタイリストが使っている一つの小さなトリック)」というタイトルをクリックすれば、西アフリカのマリで暮らす人々が抱える「水」の問題についてストーリーとともに理解できるといった具合だ。有名なヘアスタイリストの話が、なぜアフリカの水の話につながるのか。そのストーリーが気になる方はぜひタイトルをクリックして頂きたい。

また、この見出しはフェイスブックやツイッターなどのソーシャルメディアでシェアできるようになっている。皮肉にも、つい先日フェイスブックはユーザー体験の向上に向けて自身のニュースフィード上でクリックベイトを削除するアルゴリズムを導入したというニュースを発表したばかりだが、RXM Creativeの発想はフェイスブックとは対極にある。

彼らの狙いは、クリックベイトを活用してソーシャルメディア上に記事を拡散させ、少しでも多くの人にチャリティーの存在を知ってもらうことにある。

クリックベイト、いわゆる「釣りタイトル」はトラフィック稼ぎのための悪質な手法として忌み嫌われているが、使い方次第では社会に対してポジティブなインパクトを生み出す強力なツールともなりうる。Clickbait for Good の仕組みが広がり、「釣られてよかった」と思える見出しがインターネットの世界に少しでも増えることを期待したい。

【参照サイト】Clickbait for Good

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