空気中のCO2を手の消毒剤に。ニューヨーク発、環境にも優しい新型コロナウイルス対策

Browse By

現在、世界中で猛威を奮っている新型コロナウイルス感染症。皆さんは日頃どのような対策をしているだろうか?

世界の感染者数は2020年4月2日時点で100万人を超え(米ジョンズ・ホプキンス大学システム科学工学センターによる集計)、ヨーロッパをはじめ世界各地でロックダウン等の措置が取られるなど、人々の日常生活にも大きな影響を及ぼしている。少しでも清潔に、少しでも安全に過ごしたいという人々の思いから、マスクやウエットティッシュ、アルコールをはじめとする衛生用品への需要も高い。

そうした中、コロナウイルス対策にもなり、環境にも優しい画期的な商品が生まれている。空気中の二酸化炭素を使って作られたハンドサニタイザー(アルコール消毒液)だ。

 

この投稿をInstagramで見る

 

Air Co.(@aircompany)がシェアした投稿

アメリカ・ニューヨーク州に拠点を置く企業Air Co.は以前、二酸化炭素と水の組み合わせによって、アルコールを生成する技術を開発した。そして新型コロナウイルスが流行する昨今の状況を受け、そのアルコール生成技術をハンドサニタイザー(アルコール消毒液)の製造に活かしたのだ。

Air Co.は “goods that do good” を掲げ、科学技術を使って世の中のネガティブな問題をポジティブな事象へと転換することに重きを置くテクノロジー・ライフスタイルカンパニーである。特に、環境問題を引き起こす要因にもなっている空気中の二酸化炭素の存在に注目し、二酸化炭素を人々からの需要が高い商品へと変換する技術を開発してきた。

Air Co.の技術とは次のようなものである。まず、水を分解し水素と酸素に分離させる。それらを空気中の二酸化炭素と組み合わせることで、アルコールと水を生成する。この方法により、アルコール生成に必要な発酵プロセス全体をスキップすることが可能になり、穀物を生産するための農業を行う必要さえもなくなったのである。2019年には、そうしたエコな方法で生成されたアルコールを用いたハイクオリティのウォッカが製品としてリリースされた。

今回はさらに、このようなアルコール生成技術を応用し、蒸留を進めて消毒に必要である60%にまでアルコール濃度を高めることで、ハンドサニタイザーの開発に成功した。ハンドサニタイザーのボトルはすべてニューヨークで製造され、それらを必要とする地元のコミュニティや機関に寄付されている。

新型コロナウイルスが社会全体へもたらす不安感は特定の商品への欲求を過度にかり立て、それらの商品の製造には多くの人手や資源が使われている。誰もが経験したことのない緊急事態であるだけに、その製造の過程までが丁寧に振り返られることは少ないが、需要の高い製品だからこそ環境に負荷の少ない取り組みを選択するAir Co.には学ぶことが多い。「問題の難易度が高いほど、より良くしていける」と彼らが唄う通り、簡単ではない問題に対峙したときにこそ、私たち一人一人がより良い解決策を思考していくべきだろう。

【参照サイト】Air Co.公式ホームページ
【参照サイト】COVID-19 map(ジョンズ・ホプキンス大学システム科学工学センター)

#ShareTheLightSideに関する記事の一覧

FacebookTwitter