世界では、実に5人に1人が日常的な読み書きが全くできない「非識字者」であることをご存じだろうか?日本の識字率はほぼ100%のため、これまでの人生で実際に非識字者に出会った人は少ないかもしれない。
この世界人口の20%にあたる非識字者のおよそ7割はアジア圏にいると言われており、そのうち半分以上をインド、中国が占めているという。これだけ非識字者が多い理由には、貧しさにより十分な教育が受けられないという背景がある。
この問題を少しでも多くの人に知ってもらおうと、日本でも馴染みが深いファーストフードチェーンのバーガーキングは、このたびの世界識字率向上月間に合わせてユニークなキャンペーンを実施した。
情報として知るよりも、実際に体験をしてもらうことで非識字者の大変さを理解してもらおうという思いが込められたこのキャンペーン。アメリカにあるバーガーキングのとある店舗で、メニューとパッケージを判読不可能な内容に変更したのだ。
キャンペーンを知らずにこのバーガーキングへ訪れたお客たちは、この不意打ちにどのような反応を見せるのだろうか。
見慣れているはずのメニューなのに、なんと書いてあるのかわからない。まさに「ちんぷんかんぷん」なメニューを見て、オーダーができずに「私はただバーガーが欲しいだけなのよ!」と叫ぶ人や、一応試しに読んでみて言葉にならない言葉を発する人、冷静に「メニューが読めなくなっているけど知っている?」とわざわざ店員に伝える人など、様々な反応が見られた。
私たち日本人だったらどうするだろうか?もしかしたら、読めないことが言えず、何も買わずに店を後にする人もいるかもしれない。
この店舗に偶然訪れた人々の反応からは、日常生活で文字が読めないということは、かなりのフラストレーションと無力感を感じる出来事であることがはっきりと見て取れる。
世界識字率向上月間は世界中で識字能力の大切さを強調し、非識字者の撲滅や基本的な教育の重要性を再認識してもらう期間で、バーガーキングMcLamore財団の主な活動の一部となっている。
市民を実際に巻き込んで「実体験により知ってもらう」というこの大胆な発想は、有名人や著名人を起用し派手な広告やCMを流すよりもよほどインパクトがあり、伝えたい情報がより人々の心に深く刻まれ記憶に残るものとなるのではないだろうか。
バーガーキングMcLamore財団は、今後も世界中の識字率の向上を目指し、非営利団体TECHOや米国内のReadコミュニティらと力を合わせて活動を行っていくと表明している。
【参照サイト】Burger King
【参照サイト】World Literacy Foundation
(※画像提供:pio3 / Shutterstock.com)