今、世界では「水」が足りないことをご存じだろうか?広大な海を見ていると、この地球に水が足りないとはとても思えないが、実際に人々が飲むことができる淡水は、地球上の水のわずか0.75%しかない。
世界で暮らす人々のうち3人に1人は未だに安全で綺麗な水へのアクセスを手にしておらず、5人に1人は水不足の地域で暮らしている。そして、毎日8,000人もの人々が安全な水へのアクセスを手にできず、命を落としているのだ。
しかし、この水問題を解決し、多くの人々に安全で綺麗な水を届けることが可能になる革新的なテクノロジーが生まれつつある。VICI-LabsがUCバークレー、National Peace Corps Associationと共同で開発しているのは、大気中から綺麗な水を取り出すというデバイス、「Water Seer」だ。まずは下記の動画を見て頂きたい。
このWater Seerのすごいところは、上部についた小さな風力タービンを動力とすることで、外部のパワーを一切使用することなく半永久的に空気から綺麗な水を取り出すことができるという点だ。風力のみで動くため、水危機を招いている気候変動の原因である温室効果ガスも一切排出することがない。
Water Seerを導入することで、深刻な水不足に悩んでいる地域や綺麗な水へのアクセスがない地域は多大な恩恵を受けることが期待される。
空気から水を生み出す仕組みはこうだ。Water Seerのデバイスは金属で覆われた筒が2メートルほど地中に埋められており、最下部には水を貯める空洞が用意されている。上部の風力タービンから送られてきた空気が中に入ってくる際、地中の温度によって冷やされることで水となる。人々はポンプを使ってこの綺麗な水を汲みだすことができる。
VICI-Labsによると、サンフランシスコではこのWater Seer一台で1日あたり約41リットルの水を汲みだすことができたという。地域によってはより多くの水を取り出すこともできるそうだ。このWater Seerを複数台設置すれば、小さな村であれば十分に住民の生活に必要な水を賄える量だ。
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Water Seerは現在Indiegogoで77,000米ドルのクラウドファンディングキャンペーン中だが、既にプロトタイプのテストを終えて今年の8月に最新モデルが完成しており、今後は資金が目標額に到達次第、実地でのテストを進めていくという。
「風力を活用し、空気から水を生み出す」というテクノロジー。環境に一切負荷をかけることなく水問題の解決に貢献しうる、画期的なプロダクトだ。一日も早くWater Seerが実用化され、水不足に悩む地域で暮らす多くの人々の生活を変えることを期待したい。
【参照サイト】Water Seer