連想バリアの功罪とは?効率とアイデアの数奇な関係

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人は何かを見たり聞いたりする時に、無意識にそれに付随するイメージや暗黙のルールを連想している。

そして連想するものには、その人の育った環境や性格、趣味嗜好が表れる。同じ「魚」を見ても、料理人、魚釣りが趣味の人、水族館の職員、それぞれ連想するものは異なるだろう。

料理人の場合は今日作る料理のメニューや献立のことを連想するだろうし、水族館の職員はその展示の仕方を思い浮かべるだろう。

どうやらこの「連想」というものは、大人になるにつれてその幅が特定の分野から出ることなく、固定化していく傾向があるらしい。これを「連想バリア」という。

有名なテストだが、「この9つの点を一筆書き4つの直線で結んでください」というものがある。画面スクロールを一度止めて、2、3分考えてみて頂きたい。

barrier_01

いかがだろうか。

正解は下記だ。

 

 

 

barrier_02

 

この場合は暗黙のうちに

・折点は9つの点のどれかにしなければいけない

・点の大きさは考慮しない

という思い込み・連想バリアがなかっただろうか。

連想バリアが高いということはメリットも大きい。特定の分野における業務遂行にあたっては、短時間で正しい作業や判断を行なうことを助け、効率的な業務遂行には必要不可欠である。言い換えれば、過去から学び、パターン化して対処するという力は、人類が環境に適応して生き抜くために磨いてきたものだ。確かに何か起こるたびにゼロベースから「ああだこうだ」となっていたらせわしないし、うまくいくものもいかないだろう。

逆に連想バリアが低い人は、一見関係ないものの間に関係性を見いだす。他の人から見れば、その関係性をすぐに見いだすことができないため、理解されずに苦しむこともあるという。ただ、この連想バリアを低くすることが、交差的アイデアを生むうえでは有用だ。

進化論で有名なチャールズ・ダーウィンは連想バリアが低い人物だったらしい。

ガラパゴス諸島から持ち帰られた形質が似ているけれども一部が異なる数十羽の鳥の標本を見て、当時有名な動物学者であるグルードは分類という手法で「ガラパゴス諸島には13種類の鳥がいる」と結論を導き出した。

対してダーウィンは「元々1つの種類の鳥が別の島々で暮らしているうちに、その外形を変えたのではないか」という仮説を立てた。それが後につながる進化論だ。グルードは自分の前提となる専門知識をもってその事象を捉えたが、ダーウィンはその根源的な部分「なぜ、似ているが違う種類の鳥が存在するのか」という点から考えた。専門知識の連想バリアを超えて、考えることで世紀の発見をしたのだ。

連想バリアを超えることは重要だ。とはいっても、連想バリアがある種本能的なものだとしたら、どうしたらいいのだろうか。その方法は「思い込みの壁を超える」という記事を参照して頂きたい。

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