建物の景観を守りながらバリアフリー化する「見えないエレベーター」

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バリアフリーに対する意識が高まっている現在、建物に車椅子で出入りするための設備を取り付けることは、当たり前になってきている。しかし、車椅子用のスロープや昇降機は場所を取り、建物の景観も壊してしまうという難点がある。そのため、特に文化財や歴史的建造物にそのような設備を取り付けるのは簡単なことではない。

そんな中、イギリスの企業Sesameが開発したのが「見えないエレベーター」だ。この設備、一見すると普通の階段のようにしか見えないが、ボタンを押すことで自動で階段の一部が水平に動き、奥に収納される仕組みになっている。

そして階段があった部分の床から、車椅子用のエレベーターが現れるのだ。使用後はまたボタン一つで元の階段に戻る。普段はただの階段、必要なときだけエレベーターに早変わりするという画期的なアイデアだ。

実際にこの車椅子用エレベーターが取り付けられた建物の一つが、ロンドンにあるイギリスの第1級指定建造物、イングランド銀行である。同銀行は長年バリアフリー設備の取り付け方法を模索していた。しかし、有名なスレッドニードル・ストリートに位置し、文化財にも指定された歴史ある建物の性質上、計画は困難を極めたという。

いくつかの案が提出されるも、景観に調和しないとの理由で、シティ・オブ・ロンドンの都市計画家たちはそれらをすべて却下。そんな中救世主となったのがSesameである。

景観を壊さないSesameのデザインが評価され、正面入口にこの「見えないエレベーター」が設置されたのだ。

Sesame設置前のイングランド銀行入口

Sesame設置後

他にも、 ケンジントン宮殿、ホワイトホール、オックスフォード大学、シドニーのオペラハウスと、英国内外を問わず、著名な建物に続々とSesameのエレベーターが設置され始めている。

英ブルーバッヂスタイル社のCEOであり、車椅子で生活するフィオナ・ジャーヴィス氏はSesameについて「Sesameは、気をもむことなく建物に出入りするためのとてもスタイリッシュな方法ですね。私を建物に入れるために、誰かが倉庫からほこりっぽい古いスロープを持ち出さなければならないのは、ひどく大変な苦労でした。 それに比べてSesameはずっとエレガントです。」と賞賛のコメントを寄せている。

高い技術力により、美しさと機能性の両立を実現したSesameの「見えないエレベーター」。今後のバリアフリー社会の実現に向けて、重要な役割を果たしてくれるだろう。

【参照サイト】Sesame