”足からの振動”で進む方向がわかる。目が不自由な人を助けるヘルステック「あしらせ」

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白杖で足元の状況を確認したり、音声ナビゲーションを使ったりして外を歩く、目が不自由な人たち。安全のために、周囲の音や足裏の感覚にも注意を払う彼らは、多くの情報を処理する負担を感じながら外出していることも多い。

こういった困難さから、一人で旅行したり、好きなものを食べに行ったりすることを諦める人が少なくないという。道に迷わず歩くことと、安全に歩くことを両立させるのは難しい。

株式会社Ashiraseは、視覚に障害のある人々が道順を確認する苦労から解放され、周囲の安全確認に集中して外出できるように、足への振動によって道案内をするデバイス「あしらせ」を開発した。デバイスは靴に取り付け、専用アプリと連動させて使う。

事前にアプリで目的地を設定すると、デバイスが道順を直感的に伝える。たとえば、直進時と右左折時ではデバイスの振動パターンが変わる。

道順の伝達において、視覚障がい者にとって重要な聴覚を必要としないため、聴覚を周囲の安全確認のために使えるのがポイントだ。

あしらせは、視覚障がい者の人に安心感を与え、彼らの「出かけたい」という気持ちを後押しする。それは、普段のちょっとした買い物や、行ったことのない場所への旅かもしれない。外出のストレスや不安が減ると、人は身軽に行動できるのではないだろうか。

あしらせを使った人々からは、「コンビニまで初めて一人で行けた」「スマートフォンを手放せた」「いつも通る道に、花屋があることに気がついた」といった声が寄せられたという。視覚障がい者の人の日常に、自然と溶け込むデバイスになりそうだ。

同社の創業者は、以前は自動車メーカーで働いていたという。移動手段は違っても、移動を支援し人々の世界を広げる姿勢は、一貫しているのではないだろうか。

【参照サイト】Ashirase(あしらせ)
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