妊婦に座席を譲り合うアプリ。思いやりが生み出す収益はチャリティーへ

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妊娠している女性にとって、満員電車の中を立ちながら過ごす時間は想像以上に大変なものだ。また、転倒によるリスクなどを考えれば、辛くなくてもできる限り席に座ったほうがよいことは間違いない。

しかし、実際の車内では、いくら座席に座りたくても妊婦でいることに気づいてもらえず席を譲ってもらえないことは少なくない。また、その逆に本当は席を譲りたい気持ちがあるにも関わらず、妊婦の存在に気づけずに機会を逃してしまっている人もいるだろう。

そんな問題を解決するべく、イギリスのイノベーションコンサルティング会社10Xは新たなアプリを開発した。「Babee on Board」と呼ばれるこのアプリは、電車のなかで席を譲ってほしい妊婦と、席を譲ってあげたい人々をマッチングするアプリだ。

アプリは「Request Seat(席をリクエストする)」と「Offer Seat(席を譲る)」の2種類が用意されており、Request Seatアプリでアラートボタンが押されると、近くのOffer Seatアプリに自動通知が届き、近くにいる誰かが席を必要としていることを知らせてくれる仕組みになっている。

Babee-On-Board-Request-Seat -and-Offer-Seat-Apps

席のリクエストには3.99ポンドがかかるものの、この収益は全てが子供向けのチャリティーへ寄付される。席のリクエストが有料となっているのは、心ないユーザーによる不正な座席のリクエストを防ぐためだ。

アプリ自体は無料で、一度ダウンロードしておけばそれ以降は特に開く必要はない。Request SeatとOffer Seatアプリは地下鉄でも機能するように、それぞれBluetoothで通信する仕組みとなっている。

Babee-On-Board-Notification

10Xによると、ロンドンの地下鉄で通勤している妊婦の39%が、周りの人々が携帯電話をいじるのに夢中になっているがために、立ったまま過ごしているという。

しかし、このアプリさえあれば妊娠している女性は人知れぬ苦痛を抱えながら座席を求めて電車内を歩き回る必要もなく、勇気を出して誰かに席を譲ってもらうようお願いする必要もない。

また、携帯電話に夢中になっている周囲の人々も、その携帯電話に通知が届くのだから、もう自分の目の前にいる妊婦の存在に気づかないということはないだろう。

IDEAS FOR GOODでは先日も「ロンドン発、見えないハンディキャップを抱えた人でも席を譲ってもらえる青バッジ」で同様の取り組みをご紹介したばかりだ。バッジやアプリを通じて人々の優しさを可視化するだけでも、私たちが抱える日常の問題の多くは解決されるのかもしれない。シンプルながらも参考になるグッドアイデアだ。

【参照サイト】Babee on Board
(※画像提供:Babee on Board

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