輸送業界の注目株。廃棄食料で走るトラック

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二酸化炭素をあまり排出しない、環境に優しい燃料と言えばバイオディーゼル燃料や電気エネルギーが有名だ。だが、バイオディーゼル燃料はコストが高く、電気エネルギーは充電に時間がかかるため走行時間が長いトラックにはあまり適さない。それに対して、バイオメタンガスはディーゼル燃料と比較しても二酸化炭素排出量が70%少なく、コストも35%削減できる。さらに充電時間も短い。この性能に注目した企業がある。

イギリスのスーパーマーケットチェーン、WaitroseはCNG Fuels、Scaniaと手を組み、バイオメタンガスで走るトラックを導入した。けん気性消化工場で食品廃棄物から出るバイオメタンを集め、CNG Fuelsがそれを圧縮する。そしてWaitroseの輸送トラックがこのバイオメタンを利用して走る。

バイオメタンガスで走るトラック

Image via BRIDGE Newsroom

今までバイオメタンなど圧縮天然ガスを利用しての走行は走行可能距離の面で不安があったが、この方法だとトラックは再度燃料補給をせずに500 マイル走ることができ、従来と比べて200 マイルも距離が伸びている。これはScaniaとAgility Fuel Solutionsが開発した、より多くの燃料を保管できる燃料タンクのおかげだ。

Waitroseはこれまでにも食品廃棄の埋め立て廃止や寄付できなかった食料の電気への転換、規定外のいびつな形をした食料の販売など、食品廃棄物の削減や有効活用に積極的に取り組んできた。廃棄食料から生み出されるバイオメタンガスの可能性にいち早く注目したのも自然な流れだったのだろう。

食品廃棄の問題に対する関心が高まりを見せるなか、食品廃棄物の削減や有効活用に取り組むスーパーマーケットや小売店は増えているものの、廃棄物を有効利用して輸送用トラックの燃料まで作り出してしまうというのは先進的だ。

Waitroseの動きに触発されたのか、他の企業もこの新エネルギーを導入しようと動いている。幸か不幸か、より多くのトラック分を賄う食品廃棄物は十分にあり、2,000台から5,000 台のトラックは対応可能だとCNG Fuels のCEO は言う。

食料廃棄自体を減らす取り組みはもちろん大切だが、それでも出てしまう廃棄物を環境にとってベストな方法で再利用するというのはとても応用力の効いたアイデアだ。

【参照サイト】Waitrose launches Europe’s first fleet of renewable biomethane CNG-fuelled trucks with game-changing 500-mile range
【参照サイト】Waitrose
(※画像:BRIDGE Newsroonより引用)

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