航空産業は環境への負荷が高い業界だということは直観的に考えても明らかだ。2050年には航空機が排出する二酸化炭素の量は3倍になるとの予測もあり、自動車産業などと同様に航空業界も二酸化炭素排出量を削減する取り組みが求められている。
飛行機の燃費効率を上げるうえで主たる要素となるのは座席の配置と機種だ。ファーストクラスとビジネスクラスの座席が多い機体ほど多くの温室効果ガスを排出し、また古い機体ほど燃費が悪い。この違いだけでも燃費効率は約50%変わる。
しかし、機体の大がかりな変更はすぐにできることではないため、より小さなことから取り組んでいこうとする動きもある。例えばKLMオランダ航空は使わなくなったユニフォームを機内のカーペットとして再利用しており、Air Franceは古くなったポスターやライフジャケットをバッグに変えている。
今回、アラブ首長国連邦のエミレーツ航空が機内用品メーカーのBuzzと手を組んで新たに導入したのは、100%プラスチックペットボトルからリサイクルされたブランケットだ。先日IDEAS FOR GOODでもご紹介したティンバーランドと同様に、廃棄ベットボトルを活用して繊維を製造しているThreadの技術を用いて作られている。
このブランケットには1枚あたり28本ものペットボトルが使用されており、2019年の終わりまでには約12000トンにあたる、8800万本ものペットボトルをリサイクルできる計算だという。これは航空業界における持続可能なブランケットへの取り組みの中でも過去最大規模となる。8800万本という数字を見ると、小さなことでも積み重ねると大きな効果を生むのだと実感する。
エミレーツ航空はこれまでにも機内で出るアルミニウム缶やプラスチックボトル、新聞や雑誌など紙のリサイクルなど環境に配慮したプログラムに積極的に取り組んできたが、機内で利用するブランケットの調達も環境に配慮したものに切り替えるという徹底ぶりは他社の一歩先を進んでいる。同様の取り組みが航空業界全体へと広がることを期待したいところだ。
【参照サイト】Emirates introduces sustainable blankets made from 100% recycled plastic bottles
(※画像提供:Emirates Media Centre)