海洋投棄されたゴミからできた、美しいドレス。H&Mが提案する新コレクション

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これは本当にゴミから造られた洋服なのか。スウェーデン発のアパレル大手、H&Mが発表した新コレクションに驚きを隠せない。ゴミとドレス。どうしてもイコールで結びつかないこの二つのキーワードをなんともうっとりするような美しい形で結びつけてしまったのが、H&MのConscious Exclusiveコレクションだ。

日本でも認知度が高いブランドのH&Mは、「ファストファッション」の会社として知られているが、実はサステナビリティやCSRの分野でも先進企業として知られていることをご存じだろうか。そんな同社が、今年度のConscious Exclusiveコレクションで海洋廃棄プラスチック素材BIONIC®を採用したドレスコレクションを披露し、話題になっている。

海洋廃棄プラスチック素材でできたドレス

海辺や水路に破棄されるペットボトルなどのプラスチックのゴミがリサイクルされ、滑らかなシフォン素材のプリーツドレスとして生まれ変わる。公害をファッションに変えるこのプロセスは、海を守ったうえで、より良いスタイルやクオリティを提供しており、サステナブル素材を使ったスタイルが持つ無限の可能性を感じさせる一品に仕上がっている。今季は、レディース用フルコレクションとメンズ用リラックスフォーマルウェアに加えて、初のキッズ用アイテムが登場する。

Conscious Exclusiveコレクションは、よりサステナブルな未来を目指すH&Mの取り組みの中心となるコレクションだ。2015年時点でH&Mは全商品の20%にサステナブルな素材を使用しており、この割合を増やすことを毎年の目標に掲げている。H&Mは世界有数のリサイクルポリエステルのユーザーであると同時に、オーガニックコットンのバイヤーでもあり、コットンについては、2020年までにサステナブルな方法で調達されたコットンに完全に切り替えることを目指しているという。

海洋廃棄プラスチック素材でできたドレス

ここ数年、世界で注目され始めている「サステナブル・ファッション」とは、一言で言えばエコなファッションだが、実はそれ以上の奥深い意味がある。サステナブルを辞書で引くと「持続可能」という意味が出てくるが、それがまさにサステナブル・ファッションの目指すところだ。つまり、環境問題やリサイクル対策だけではなく、そのファッションが作られる背景にある労働者の働く環境や安全面、素材が環境汚染や人体被害に関わっているかどうかの有無などをしっかり配慮した上で造られたファッションであり、環境・社会の両面で持続可能なファッションであるという意味が含まれている。

こんなにも美しいドレスが海洋投棄プラスチックでできているとは、言われなければ100%分からないだろう。リサイクルからこれだけハイクオリティでエレガントな洋服が仕上がるのであれば、洋服はもう全て、この世界中にある有り余るゴミによるリサイクルのみで造るという方向性もありなのではないだろうか、とさえ思えてくる。

H&Mのコレクションだけではなく、いまファッション業界では同じように「サステナブル・ファッション」を取り入れているブランドが続々と登場してきており、装飾という贅沢の分野に位置するファッションが、それだけにとどまらず、プラスアルファの要素を加え、未来に繋がるものとして進化し始めている。

環境に配慮しながら美しいファッションを生み出すというこの素晴らしい取り組みが、これからも浸透し拡大していくことを期待せずにはいられない。

【参照サイト】RECYCLED SHORELINE WASTE IN H&M’S NEW CONSCIOUS EXCLUSIVE COLLECTION
(※画像提供:H&M Press Release

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