IDEAS FOR GOODでは以前にも自転車に乗ったぶんだけショッピングが割引になるドイツ発のアプリ「Radbonus」を紹介したが、その隣国オランダでも、上手にインセンティブを活用することで人々に自転車の利用を促しているアプリがある。
オランダのユトレヒトに拠点を置くスタートアップのByCyclingが開発したのは、従業員の健康を促進したい中規模から大規模企業向けのインセンティブ付与アプリだ。このアプリを活用することで、企業は従業員の自転車走行距離をトラッキングし、その距離に応じて現金ボーナスや有給休暇など自ら設定した報酬を与えることができる。同アプリは市場にリリースされてから既に2年が経過している。
ByCyclingは、希望者がアプリをダウンロードして会社のグループに参加すると、ソフトウェアがユーザーの走行距離を自動で追跡する仕組みとなっている。走行距離は携帯電話のセンサーを通じて把握されるため、ユーザーは自転車に乗るたびにいちいちアプリを開く必要もない。
ByCyclingのCEOを務めるホセ・ディアス氏は「人々がサイクリングをする大きな動機には金銭的インセンティブと、社会的側面の2つがある」と説明するが、このアプリはまさにその2つを兼ね備えている。自転車による通勤は環境にも健康にもプラスだが、さらに報酬までもらえるとなれば、多くの従業員がこのアプリを使って自転車を漕ぎたくなるはずだ。
また、アプリを導入する企業にとっても従業員のヘルスケアは自社の競争力に直結する重要なファクターであり、インセンティブを支払ってでも自転車の利用を促すメリットは大きい。
最近は日本でも「健康経営」と言われるように従業員のヘルスケアを重要な経営戦略に位置づける企業は増えてきているが、健康経営を推進する上でも、社員の自転車通勤をインセンティブと上手く結びつけるByCyclingのやり方はとても参考になるはずだ。
【参考サイト】ByCycling