GoogleとUNHCRがシリア難民危機の疑問に答える「Searching for Syria」

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2011年3月の勃発以来、人口の約半分が故郷を追われることになったシリア危機。500万人が近隣国で難民となり、さらに630万人がシリア国内で家を追われ避難民となっている。

シリア危機や難民に関するニュースは毎日のように流れてくるが、この複雑な問題の真相について深く理解している人々は多くない。一体今シリアでは何が起こっていて、難民はどこに向かっているのか。そしてこの問題を解決するために自分は何をすることができるのか。そう問われると、ほとんどの人は明確な回答を出せず、Googleに頼りたくなるのではないだろうか?

そこで、Googleと国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が立ち上げたのが、Googleの検索エンジンに打ち込まれたシリアに関する質問の中で最も多かった5つの質問とその回答をまとめた「Searching for Syria(シリアを探して)」だ。

シリアに関する質問に答えてくれるSearching for Syria

このウェブサイトは、シリア難民危機による人的損失や、暴力と迫害により家を追われている何百万ものシリア人家族が生き延び、尊厳を回復できるように援助している実態について有益な情報を提供することを目的として作られた。

サイトを訪れると、GoogleやUNHCRのデータやストーリーとともに分かりやすく編集された写真、ビデオなどのコンテンツを通じて「紛争前のシリアはどのような状態だったのか?」「シリアで何が起こっているのか?」「難民とは?」「シリア難民はどこへ行ったのか?」、「どうすればシリア難民を助けることができるのか?」という5つの疑問とその回答を見ることができる。

また、ユーザーが見て終わりではなく難民支援のための次のアクションを起こせるように、SNSを介したシェアや難民の子どもたちの教育や難民の安全を提案するよう世界各国へメッセージを届けるハッシュタグ「#WithRefugees」キャンペーンへの署名、難民支援への寄付といったオプションも提供されている。

「シリアと難民に関する作り話や誤解を払拭し、人道的悲劇について全く新しい姿を見せることを目的としています」とフィリッポ・グランディ国連難民高等弁務官は言う。

また、Googleの社会貢献部門、Google.orgのジャクリーン・フラー副社長は「昨年、ドイツ、フランス、イギリスでトップになったインターネット検索の1つは『What is happening in Syria?(シリアで何が起こっている?)』だった。今続いている紛争と難民危機による人的損失を世界に知らせ、意識を高めていくために援助できることを誇りに思います」と語る。

シリア危機ではアラブの春で起こった政府と反体制派の衝突が、近隣諸国や米露などの列強が介入する国際的な騒乱に発展。各勢力の思惑が錯綜し、未だ出口は見えない。欧州にも多くの難民が流入し大きな混乱をきたしており、各国の過激派政党台頭、英国のEU離脱の一因ともされる。

多くのシリア難民がさらに厳しさを増す苦難と犠牲に晒されており、長年学校に通えない子供たちは学業も心理面も大きな痛手を負い「失われた世代」と形容され、例え暴力が収束しても復興の道のりは険しい。一方で、UNHCRが主導するシリア難民への人道支援活動において、家を追われたシリア人家族の緊急支援に必要とされる額の17%の資金しか集まっておらず、深刻な状況に直面しているという。

この苦境時に答えを導くべく、検索データに基づくサイトを設立するというのは、「世界の情報をオーガナイズし、広くアクセスしやすく、かつ有益なものにすること」をミッションとする検索エンジンGoogleならではのCSRだ。

【参照サイト】Searching for Syria
【参照サイト】UNHCR – Searching for Syria? Google and UNHCR offer answers to five top questions

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