世界のオンライン労働市場に関する調査をしている英国オックスフォード大学インターネット研究所のiLabourプロジェクトが公表したデータによると、世界のオンラインギグエコノミーの市場規模は過去1年間で26%拡大したことが分かった。「ギグエコノミー」とは基本的に非正規型の労働でインターネットを通じて単発で仕事を受発注することにより成り立っているエコノミー形態のことを指す。
ほぼリアルタイムで集計されるこれらのデータは、大手オンライン労働プラットフォームとして知られるFiverr、Freelancer、Guru、PeoplePerHourを含めた6つの最大規模の英語プラットフォームを対象に収集されている。そのため、英語圏以外の国の市場シェアは含まれていないが、これらのサイトは少なくとも世界市場の40%を占めていると推定されており、この数字は市場の全体像と各国のスキルが世界市場にもたらす指標になる、としてリサーチ結果を発表している。
このデータに基づく世界最大のオンライン労働力のサプライヤーは、伝統的なアウトソーシング国であり従業員の24%が在宅しているとされるインドだ。次いでバングラデシュ(16%)、米国(12%)と続く。また、興味深いことにそれぞれの国によってオンラインで請け負っている職業は偏っており、ソフトウェア開発と技術部門は、インド亜大陸の労働者が55%の市場シェアを占めており、会計、法務サービス、ビジネスコンサルティングからなる専門サービス部門は、英国に拠点を置く従業員が22%の市場シェアを占めている。
特にヨーロッパは地域によって明確なスキルパターンを示しており、ラテンヨーロッパでは主要なオンライン作業カテゴリーがライティングと翻訳、北欧では創造的でマルチメディア的な作業とセールス、マーケティングのサポート。東ヨーロッパ諸国は、ソフトウェア開発と技術において最も強いという特徴が見られる。
さらに職業別指数を分析すると「ソフトウェア開発と技術作業部門」は、市場で最も大きな職業分類となっており、2016年7月からの1年間で37%増加し、最も急速に成長した職種となっている。2番目に大きな「クリエイティブとマルチメディア部門」では21%伸び、3番目のカテゴリーである「Clericalとデータ入力」は、ほとんど成長しなかったという結果がでている。
また、オンラインギグの3%未満を占めている最小の職種として「会計、ビジネスコンサルティング、法律相談部門」があるが、これらの職業は小さいながらも1年間で43%増加し急成長を遂げている。
それから雇用者/顧客国別に指数を分析すると、イギリスを除くヨーロッパの成長が最も速く、インドとアフリカでは成長がほとんどないことが分かる。米国は依然として雇用主国としての地位を維持しており市場シェアは46%にも昇る。とはいえ、去年のシェア率よりは下降しているため、他国も少しずつではあるが雇用主国として追いつき始めているとみられる。
オンラインギグエコノミーは、日本でも注目されている働き方の一つであり、インターネット経由で仕事を受注しているフリーランサーやクラウドワーカー、個人事業主は年々増加している。多様な職種の作業がオンライン上のみで完結する時代となり、国々の垣根を無くして働くことも可能になった。オンラインギグエコノミーは、一つの主流な働き方としてこれからも成長し続けると予測される。
【参照サイト】The online gig economy grew 26% over the past year
【参照サイト】Where are online workers located? The international division of digital gig work