美味しくて、社会にもいい。英国発、ホームレス向けのバリスタトレーニングコース

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ホームレス支援の慈善団体クライシスが出した2018年度調査によると、イギリスの路上生活者の数は2010年以降、169%増となっている。また、イギリスでここ1年間に飢えや暴行などで死亡したホームレスの数は少なくとも449人に上ることが、英非営利団体の調査報道事務局(TBIJ)が発表した調査で明らかになっている。人々が思う以上に、イギリスでのホームレスの問題は深刻だ。

そんな中、今回紹介するのは、ホームレスにバリスタトレーニングを提供する「Change Please」という社会復帰プログラムだ。英国市民がコーヒーに消費するお金でホームレスの雇用を生み、彼らの自立を促すことができないかと、2015年にロンドンビッグイシュー誌創業者のジョン・バード氏と、社会起業家のジェマール・エゼル氏によって立ち上げられた。

公式HP

Image via Change Please

ロンドン市民はコーヒー好きだ。平均で1日に2カップ飲んでいるという。需要は今後も伸びる傾向にあり、2020年までにはイギリスで21,000箇所のコーヒーショップができ、それにともない100,000以上の雇用機会が生まれるという。しかし現状、コーヒー業界では世界的にスキルを持った労働者が不足している。そこでChange Pleaseは、職を求めるホームレスと人手が不足している分野を結びつけたのだ。

この取り組みではホームレスにバリスタの訓練を施すだけでなく、仕事をするためのコーヒーカートを提供したり、住まいを探すサポートをしたりしている。また、同社はホームレスに「最低限度の生活」を保証するのではなく、「ロンドン市民の平均的な生活」を与えることをミッションにしている。そのため、ホームレスには最低賃金ではなく、ロンドン市民の平均的な賃金の時給を支払っている。

同社が提供するコーヒーは味がおいしいと好評のようだ。2015年11月に上記の活動を始めたときは1週間で1,000杯のコーヒーが売れ、ソーシャルメディアでも大きな話題となった。さらに4か月後には78,000杯のコーヒーが売れたという。2017年にはグレートテイストアワードという食品の国際大会でも賞を取り、いい味と社会的にいい行いを両立していることがよく分かる。

同社のコーヒーカートが路上に増えれば増えるほど、路上にいるホームレスの数が減っていく。コーヒーを購入する場所を変えるだけで、誰もが社会を変えることができるのだ。熱くおいしいコーヒーを飲み、やるだけのことはやったと思えたら、新しい風が私たちを前に押してくれるだろう。

【参照サイト】 Change Please