ドイツが公共交通機関を無償化か。大気汚染を食い止める本気の取り組み

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ヨーロッパの中核ドイツで、切符を買うという概念がなくなる日が来るかもしれない。ドイツ連邦政府が、国内の公共交通機関の無償化を検討していることが明らかになったのだ。電車やバスの利用者を増やすことで、自家用車を減らす取り組みである。

今回の無償化の背景には、ヨーロッパでも深刻な問題である大気汚染への懸念がある。WHO(世界保健機関)のデータによると、世界で毎年300万人が大気汚染を原因とした疫病で亡くなっているという。わたしたちの生活に必要な移動のために行われた、おそらく無意識な環境破壊が、確実に人への健康被害をもたらしているのだ。

昨年には、欧州委員会がドイツを含む9か国での大気汚染レベルの高さを理由に欧州司法裁判所に提訴する可能性があることが報じられた。ドイツは、同委員会が今年1月末までに求めた大気汚染の対処に関する水準を満たさなかったため、危機感が続いていたとみられる。

報道によると、無償化の計画は、ボンやエッセン、マンハイムを含む5都市で早くて年内には試行される。この他にも特定の道路での自動車のCO2排出を制限する取り組みや、電気自動車へのインセンティブ付与、既存の自動車を改修するなどの施策がされる予定だ。すでにバルバラ・ヘンドリクス環境大臣やクリスチャン・シュミット農業大臣、ペーター・アルトマイヤー首相府長官らによる署名も行われた。

公共交通機関の無償化は画期的な取り組みだが、懸念材料がないわけでもない。エストニアの首都タリンでは、市民を対象に交通の無償化が2013年から行われているが、自動車利用者のみならず、すでに環境に優しいサイクリストでさえ電車を使うようになったりしたため、交通機関の増設による経済的付加がかかることになった。長期的な計画が必要となりそうだ。

今後の具体的な実行時期や施策の内容はまだ発表されていないが、環境大国であると同時に自動車大国でもあるドイツの大胆な取り組みには、大気汚染の状況を改善するという本気が感じられる。今後の展開が楽しみだ。

【参照サイト】Bundesregierung erwägt kostenlosen öffentlichen Nahverkehr
【参照サイト】POLITICO Morgen Europa: Freie Öffis gegen schlechte Luft — Neues zum Spitzenkandidatenprozess — In eigener Sache