ロウソクの火でLEDライトを点灯。熱発電ランタン「Luminiser Lantern」がもたらす希望

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一見関係ないようにも思えるが、「教育」と「照明」は、常にワンセットだ。自宅に照明がなければ、当然ながら子供たちが勉強する時間もなくなる。貧しい国ならなおさらのこと、日中の子供たちは労働に駆り出される。家にまともな照明がなければ、日没後は寝るだけだ。

150年前の明治の元勲たちは、そのことをよく分かっていた。だからこそ、限りある国家予算で外国人技師を招聘し、発電所を建設した。明治時代の日本政府は慢性的な予算不足に悩まされていたが、それでも電力供給と教育施設の建設に対して手を抜くことはなかった。照明は優秀な人材を輩出するのだ。

しかし、21世紀の今でも照明に恵まれない国は存在する。家に電力が届かないとしたら、残された手段はロウソクしかない。ティーライトキャンドルの頼りない灯りで教科書を照らす。そうやって現地の子供たちは、進学の道を勝ち取っている。

そのロウソクの光を、最先端技術の力で何十倍にも拡大できたらどうだろうか?クラウドファンディングサイト「Kickstarter」に、こんな製品が登場した。LEDランタン「Luminiser Lantern」である。

このLuminiser Lanternには、電力バッテリーが内蔵されていない。電気で動かすものではないからだ。内部にティーライトキャンドルを設置すると、その火が発生させる熱をエネルギーとして5~6時間持つLEDライトになるという仕組みだ。言い換えれば、ロウソクの光量は15~20倍にまで増幅されるということだ。

内蔵バッテリーも太陽光パネルも必要としないこのLuminiser Lanternは、キャンドルと火さえあればどこでも使うことができ、電気が通っていない地域にも明るいLEDの光をもたらしてくれる。

世界の果ての通学路』という映画がある。これは、想像を絶するような過酷な道程を進み通学する子供たちを撮影したものだ。野生生物が闊歩する荒野を行く彼らは、登校のためだけに毎日数時間費やさなければならない。本人の意志と親の理解があればこその日常だ。

この映画に登場したある少年は、最終的に中央政府からの奨学金を得た。発展途上国の「奨学金」とは、国家からエリートとして認められたという証である。彼の努力の賜物だが、それを可能にしているのは何か。考え詰めれば、結局は「自宅の照明」にたどり着く。

ロウソクの火は、世界を豊かにする可能性を秘めているのだ。

【参照サイト】Luminiser Lantern | Powerful LED light from a tea candle.
【参照サイト】The Luminiser

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