バングラデシュから届く“服のサプライズ”。廃棄予定の服の販売で労働者を救う「Lost Stock」

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新型コロナウイルス感染症の広がりにより、世界中で街から人の姿が消え、多くの産業が大打撃を受けた。アパレル業界では、大手ブランド向けに製造されたものの注文がキャンセルされた在庫が大量に発生しており、金額にすると20億ドル(約2000億円)を超えると言われる。

ファッションブランドのサプライチェーンは、コストが安いことから発展途上国に集中する傾向にある。その筆頭が、最貧国に位置づけられ、繊細な縫製技術に優れる人材が豊富なバングラデシュだ。しかし新型コロナにより発注が減り、製造の仕事が激減したことで、もともと経済的に余裕がない労働者やその家族は明日の食事にも気を揉む困窮状態となってしまった。

そこで、英国のショッピングアプリMallzeeの運営チームは、大手ブランドのために作られた衣服を格安で、製造工場から直接消費者に届けるサービス「Lost Stock」をローンチした。注文キャンセルにより埋立地に送られることになった服を救済し、バングラデシュの労働者も助けるアイデアだ。

「Lost Stock」を注文する手順はシンプル。サイトの注文画面で性別や好みのスタイルなど、簡単な質問に答えるだけだ。すると、注文者の好みに基づいて最低3点のアイテムがセレクトされ、6~8週間のうちに手元に届けられる。何が届くかは開けるまでのお楽しみということで、サプライズの要素もある。

TopshopやC&Aといったファッションブランドの棚に並ぶはずだった品々が、希望小売価格から少なくとも50%割引されており、1つのボックスの価格は送料込みで39ポンド(約5,000円)。Lost Stockの収益の40%は直接、工場の労働者に還元される。1つボックスが売れると、労働者とその家族がおよそ1週間暮らせるそうだ。運営チームの目標は、バングラデシュの労働者とその家族10万人を支援することである。

いわゆるアフターコロナ(新型コロナ以降)の社会では、さまざまな変化が待ったなしで次々に訪れると予想される。これらの急激な変化は、時には弊害をもたらす可能性があり、私たちは社会の弱者が犠牲にならないように、細心の注意を払う必要があるだろう。

Lost Stockは、テクノロジーを使った画期的な取り組みであり、まるで工場から直送される「カスタマイズ福袋」である。廃棄予定の服も労働者も救うこの仕組みは、他の地域でも活かすことができそうだ。

【参照サイト】Lost Stock

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