近年、環境破壊やサステナビリティがよく話題に上がるようになってきた。そんななか、サステナブルで「ゼロ・ウェイスト」な暮らし方が広まりつつあることをご存知だろうか。
ゼロ・ウェイストとは、出てきた廃棄物をどう処理するかではなく、そもそもゴミを出さないで生活するという考え方である。
その生活スタイルを私たちに紹介してくれる、フィンランドの首都ヘルシンキ発のゼロ・ウェイスト・レストランが2018年5月中旬にニューヨークに登場した。
フィンランド出身デザイナーのHarri Koskinen氏とLinda Bergroth氏が運営するZero Waste Bistroは、ニューヨーク・デザイン・ウィークの目玉イベントのひとつで、4日間限定のポップアップショップとして登場した。ヘルシンキのレストランNollaが監修し、そこのシェフたちがメニューや食器、お店のインテリアをとおして、彼らの「ゼロ・ウェイスト」哲学を紐解いてくれるのだ。
循環型エコノミー、サステナブルデザイン、イノベーティブ素材の探求がテーマのこの店では、食料廃棄を徹底的に削減する方法を教えてくれる。さらに、食事のメニューだけでなく、建築素材、商品の梱包まで徹底してリサイクル可能なものを使用している。
たとえば、食事は来客が「考えさせられるメニュー」を作っている。オーガニックな地元食材や穀物のカスなど、見逃されがちな食料から出る副産物を使ったメニューは、味はもちろん、見た目も美しく斬新なものだ。
また、建築にはDuratという地元フィンランド発の表面素材を使っている。これはプラスチックをアップサイクルしてできており、100%リサイクル可能なのだ。
包装には、こちらもフィンランド発祥の木材でできた生物分解可能なSulapacという素材を使用している。
ほかにも、フィンランドデザインショップで販売されているエコなデザインの製品を多く使用、展示している。
朝食、ブランチ、昼食に加えて、Zero Waste Bistroでは健康食材、循環型社会、ゼロ・ウェイストなどをテーマにしたワークショップなども開催している。
「今は、どのように暮らし、何を食べ、どんなモノを使うかを一人ひとりが考える時代である。次の世代が暮していけるようにするために、このビストロをとおして廃棄物を減らし、環境を保護する方法を提案する。私たちが正しい選択さえすれば、それは実現可能なのです」とフィンランド文化センターの常務取締役 Kaarina Gould氏は語る。
食料廃棄が喫緊の課題となるなかで、ゼロ・ウェイストは画期的な取り組みであろう。大量の廃棄物をゼロにすることは一見難しそうに見えるが、やり方さえわかれば少しずつ実践できるのだ。
美味しい食事を楽しみながら、栄養素を余すことなくいただき、廃棄を減らせる「ゼロ・ウェイスト」。オーガニックレモンの皮でジャムを作ったり、米ぬかを入浴剤として使うなど、私たちの日々の生活のなかでも実践できることはたくさんある。
【参照サイト】Finnish Cultural Institute in New York
【参照サイト】Zero Waste Bistro offers four days of sustainable food and design in NYC
(※画像提供:Finnish Cultural Institute in New York)