効率は自然繁殖の100倍。サンゴ礁を救うのは、オーストラリア生まれの海中を泳ぐロボット

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南国の海に広がる、色とりどりのサンゴ。多くの生物が住み処をつくる、海洋生物の宝庫だ。しかし、いま、世界のサンゴの3分の1が絶滅の危機にあるといわれている。世界最大のサンゴ礁であるオーストラリアのグレートバリアリーフも例外ではない。グレートバリアリーフ北部1,000km圏内の約95%でサンゴが白化しているという。

この危機からサンゴを救おうと、オーストラリアのクイーンズランド工科大学のロボット研究チームがサザンクロス大学と共同で、海中ロボットを開発し、11月下旬から適用を始めた。

Image via Queensland University of Technology

海中ロボットは、以下のように機能する。

まず、ロボットはサンゴの産卵期に、白化に耐えた大きな2つのサンゴ礁から数億個の卵を集めて、サンゴ礁の上に設置した大きな囲いの中で5~7日飼育する。その後、海中を泳ぎながらサンゴの幼生を目的の礁に運び、散布する。サンゴを散布する間は常に人が監視し、散布効率を最大化しながら、ロボットは計画された経路を一定の高度で進む。そして、散布されたサンゴは成長して芽を出し、新しいコロニーを形成していき、3年後には生殖が可能になる。

Image via Queensland University of Technology

飼育されたサンゴの幼生移植は、これまでも「幼生の復元」として知られている技術だが、研究チームのロボットによる散布方法は、効率がよいことが大きな特徴だ。当研究を率いたダンベイビン教授は、ロボット1台で1時間に1,500平方メートル散布できると見積もっており、このロボットを使えば、自然繁殖よりも100倍速くサンゴの卵の散布ができると考えている。今年11月から導入されたロボットは2、3台で、1台は20万個の幼虫を運ぶことができ、他は120万個運べる。

共同研究をおこなったピーター・ハリソン教授は、「これは、サンゴの世界的な復元方法になるかもしれない 」と語る。また、グレートバリアリーフ基金は、グレートバリアリーフのダメージを受けているサンゴの復元と、サンゴの白化の影響を受けた生体系の回復のために、この2大学の共同研究に出資しており、大きな期待を寄せている。

数億個のサンゴの卵を集めて、効率的に移植する海中ロボット。ロボットで、サンゴ礁を救えるか。これからが注目される。

【参照サイト】Reef RangerBot becomes ‘LarvalBot’ to spread coral babies
【参照サイト】国立環境研究所/サンゴ礁の異変
【参照サイト】WWF/グレートバリアリーフで過去最大規模の白化現象
(※画像:Queensland University of Technologyより引用)