林業で出るゴミをバイオ燃料に。フィンランド技術研究センターが開発する新技術とは

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フィンランド技術研究センター(以下、VTT)が、樹皮やおがくずなどの林業廃棄物を、輸送用燃料や化学物質に変える新技術を開発した。同センターは、これまでも海に漂うプラスチックゴミを減らすコンテナなどを開発してきた。

生物由来のバイオエネルギーは、いま私たちが直面する気候変動への対策として注目されている。国際エネルギー機関(IEA)は、これが2023年までに最も急成長する再生可能エネルギーになると予測。現時点で世界の再生可能エネルギー消費量のうち約50%を占めているという。さらに、2060年までに世界のエネルギー消費量におけるバイオエネルギーの割合は、現在の4.5%から17%になる見通しだ。

そして、バイオエネルギーに期待されているのが、航空輸送や海運、電気自動車などのバックアップの分野だ。ノルウェーの海運会社Hurtigrutenも、漁業ゴミと液化天然ガスを組み合わせたバイオガスと、バッテリーパックを使ったクルーズ船の運行を発表している。

今回フィンランド技術研究センターが開発した技術では、ガス化プロセスを利用し、林業の廃棄物からできたバイオマスエネルギーを、液体炭化水素やメタノール、メタンなどの化学物質に変換する。これが製油所でさらに加工され、約55%が輸送用燃料に、20%~25%が地域暖房や工業プロセスの蒸気生成に使われるそうだ。

フィンランドのVTT

(c)VTT

低圧低温蒸気ガス化技術を使用しているため、ガス精製が簡素化され、プロセスで発生した熱は年間を通して利用できるのがこの技術の大きな利点だ。また、プラスチックや包装材料のリサイクルをし、合成ガスを作り出すこともできる。

「ヨーロッパでは、300メガワット以上の大規模ガスな化工場はまだない。バイオマスのエネルギーを効率よく使う私たちの技術は、大規模工場建設の資金繰りに役立つだろう。」と同センターのエサ・クレカ氏は語る。研究チームは、2030年以降このプロセスがコスト面で大きな競争力をもつであろうと予想している。

このプロセスの開発は、VTTが率いる2つのEU Horizon 2020プロジェクトを通して継続される。今後は、ガス精製と合成技術の効率化に焦点が当てられるようだ。

「森と湖」と言われるほど森が豊かで、林業が盛んなフィンランド。土地の資源を最大限に生かし、林業のゴミを輸送用燃料や化学物質に変えるプロジェクトの今後が楽しみだ。

【参照サイト】VTT develops a new sustainable way to turn forestry waste into transport fuels and chemicals
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