黒色のプラスチック、身の回りにない?フィンランド企業がリサイクルのしづらさを解決

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近年プラスチックによる環境問題の発生を受けて、世界中で生産・使用・廃棄に関する議論が行われている。スターバックスが2020年までにプラスチックストローの禁止を発表したことが記憶に新しい方も多いだろう。企業だけでなくEUやG7などの国際的な会議体でも、プラスチックの削減やリサイクル強化の方針が発表されている。

このような動きがある反面、技術的な限界がリサイクルを妨げている現状がある。私たちの身の回りにある黒色のプラスチックは、プラスチックの中でも特にリサイクルが難しい素材だということをご存じだろうか?

黒色プラスチックはデザインへの汎用性が高いため、家電や食品トレーを中心とした幅広い製品に使われている。また、様々な色のプラスチックを混ぜ合わせてリサイクルして作るので製造コストが安いこともあり、世界のプラスチック生産量の約半分を占めると言われている。

Image by ShutterStock

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通常のプラスチックのリサイクルの工程ではカメラから赤外線を照射し、反射された波長から樹脂の特徴を捉えて、プラスチックの種類を自動で分別する。しかし黒色プラスチックの場合、赤外線が黒色の色素に吸収されてプラスチックとして分別されないのだ。

そのためリサイクルされずに廃棄される割合が高いという技術的な課題がある。英国の調査によると、毎年100万トン上の黒色プラスチック容器がリサイクルされずに、埋め立て処理されていると推計されている。

このような技術的なハードルを乗り越えるべく、フィンランドの企業が黒色プラスチックを判別できる「中波長赤外線カメラ」を開発した。製品を発明したのはロボットと分光器を開発するSpecium社だ。

同社は中波長赤外線カメラの96%を中国、インド、米国に集中的に輸出している。だが、フィンランド国内で黒色プラスチックのリサイクルに動き出すリサイクル業者はまだないという。同国で家庭で使われるプラスチックの分別とリサイクルが始まったのは2016年で、それ以前は燃やすか埋め立て地に運んでいた。同国のプラスチックリサイクル協会によると、現状家庭で使われるプラスチックがリサイクルされているのは15%と言われているが、5年以内に50%に達するという予測がある。

フィンランド国営の投資企業も循環型経済の促進のために90億円の投資を行うことを発表しており、プラスチックのリサイクルもその対象に含まれている。国内での動きも活発化し、Specium社の製品の活躍の場も増えそうだ。

世界的にリサイクルや廃棄物削減が重視される中で、SDGsの登場もありこの分野は一つのビジネスチャンスにもなりつつある。消費者の意識や消費スタイルの変化や、市民が企業の監視を強めるアプローチだけでなく、技術的な対処を促進するための投資やビジネス促進などのアプローチも今後広がることが期待される。

【参照サイト】Finnish Tech Enables Recycling of Black Plastic
【参照サイト】UK Collaboration Awarded £0.8m For Tech To Tackle Black Plastic
【参照サイト】Near Infrared (NIR) Sorting in the Plastics Recycling Process
【参照サイト】プラスチックを取り巻く国内外の状況