車との事故を防ぐ、動物専用の橋。オランダなど世界各地で広まる

Browse By

山岳地を車で走っていると、「動物注意」や「とび出し注意」と書かれた標識を見かける。うっかりしていると動物を轢いてしまうこともあり、潰れた死体と血に染まったアスファルトを見るのは、なんとも後味が悪い。そもそも人が森や林を切り開いて道路をつくったために、動物たちは危険を冒しながら道路を行き来することになったのだ。

アメリカでは動物と衝突する事故が年間100万件以上あり、その修理やけがで80億ドル(約8,700億円)以上のコストがかかっているという。そんな経済的なダメージも大きい動物との事故を減らすため、動物専用の橋をつくる取り組みが世界で広がっている。これは人のための道路の上に、動物が行き来するための橋を架けるというものだ。

Image via shutterstock

フランスが1950年代にこの取り組みを始めたこともあり、動物専用の橋は特にヨーロッパにおいてよく見られる。オランダでは66の橋がつくられ、アナグマ、猪、鹿といった動物の生態系を守ることに貢献している。また同国にあるNatuurbrug Zanderij Crailooという橋は長さ800m、幅50mもあり、動物専用の橋としては世界一の長さを誇っている。

カナダやアメリカでも動物のための橋が導入されており、カナダのバンフ国立公園では橋だけでなくトンネルもつくられている。ケニアには象のためのトンネルがあり、ドイツ、ベルギー、シンガポールといった国々にも動物用の橋が存在する。

道路に橋を架けるというと、熊のような大型の哺乳類だけが利用するものと思うかもしれないが、小動物の利用を想定したユニークな橋もある。たとえば、オーストラリアのクリスマス島には蟹が渡るための橋、アメリカのワシントンにはNutty Narrows Bridgeという名の、リス用のつり橋が存在する。

蟹用の橋(クリスマス島)Photo by Kirsty Faulkner

クリスマス島にある蟹用の橋は、その珍しさが功を奏したのか観光客からの注目も集めているという。道路で森林が分断されてしまったのは侘しいが、その分架けられた動物のための橋には、小さな安息を見出すことができる。外国へ旅に出たときには、橋を渡る動物たちを見に行ってみると、不思議と感動するかもしれない。

【参照サイト】 Bridges for Animals to Safely Cross Freeways Are Popping Up Around the World