排除するのではなく、受け入れる。テロリストの社会復帰を支援するアクセプト・インターナショナル

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「アル・シャバーブ」は、ソマリアを拠点に活動するイスラム過激派組織だ。ウサーマ・ビン・ラーディンが設立した過激派組織アルカイダに忠誠を誓い、ソマリア政府などを標的としたテロを実行している。

1980年代に勃発した内戦が全国に拡大し、ソマリアでは無政府状態が21年間もの間続いていた。2012年に正式な政府が発足してからも、国土の多くがアル・シャバーブに支配され、度重なる飢饉や難民・国内避難民が発生し続けている。

こうしたソマリアの過酷な環境を生きる若者たちの多くが、スキルも、教養も、職もないという。アル・シャバーブはこのようなソマリアの若者たちを組織へ次々と勧誘していく。

このアル・シャバーブをはじめとする暴力的過激主義者にアプローチして和平構築を目指す団体がある。日本のNPO法人である「アクセプト・インターナショナル」だ。“排除するのではなく、受け入れる”をコンセプトに、テロリストやギャングの脱過激化・社会復帰を手助けして再過激化のリスクを減らすとともに、更なる脱退を促進することで、テロ活動や紛争を減らす活動をしている。

ソマリア

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具体的にどのようなアプローチを実施するのだろうか。アクセプト・インターナショナルがソマリア政府と協働でアル・シャバーブからの投降兵を対象に本年9月から実施する「DRRプロジェクト」では全部で4種類のプログラムがあるが、なかでも筆者は「和解に向けた対話セッション」は重要だと感じる。これはディスカッションを通して、社会の構成員が元アル・シャバーブ兵士のことをどう考えているか理解するためのプログラムだ。

高野秀行氏の著書「謎の独立国家ソマリランド そして海賊国家プントランドと戦国南部ソマリア」によると、地元の人たちがアル・シャバーブに対して抱く印象はすこぶる悪い。アル・シャバーブの支配下で暮らした人たちに高野氏が話を聞いたところ、彼らはとにかくすぐ人を殺すという。

「各家庭から子どもが兵士として連れ去られ、拒否したら殺される」、「音楽は一切禁止。携帯電話の中に音楽があれば、メモリーのチップを口に入れて飲み込まされた」、「アルコールは鞭打ち100回」など、極端で残忍な話だらけだ。これだけのことがあったうえで社会側と和解するのは、いくら抜け出した兵士とはいえ非常に難しい。強制加入させられた兵士も多いため、時に社会側の強すぎる偏見が問題なこともある。これについては社会側が理解しようとする気持ちを持つ必要があるだろう。

さまざまな武装勢力が群雄割拠している国で、日本のNPO法人が間を取り持ってテロ・紛争解決を導く好循環を創り出そうとしている。DRRプロジェクトへは日本初・民間の取り組みとして実施予定で、一般からの寄付も受け付けている。現地にいるからこそ発信できる情報に今後期待したい。

【参照サイト】 NPO法人アクセプト・インターナショナル