職場でのハラスメント撲滅へ。ブロックチェーンを利用して人事部に“告発”できるプラットフォーム

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2017年、世界を席巻したソーシャルメディア・ムーブメントが、#MeToo運動だ。ニューヨーク・タイムズ誌とザ・ニューヨーカー誌が、ハリウッドの有名映画プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタイン氏によるセクハラ、性的暴行を告発する記事を発表。これをきっかけに、彼に被害を受けた女優たちがSNS上で次々と声をあげ始め、世界中に広がるセクハラ告発運動へと発展した。

調査によると、職場でのハラスメントの事案は増加しており、女性に関しては10人に4人が被害に遭っているという。しかし、被害者が実際に被害を訴えるケースは多くはない。60%以上の従業員は、ハラスメントに対して声をあげることができないという。

この現状を受け、ロンドンで開発された「Vault」は、職場でのパワハラ、セクハラ、マタハラなどのハラスメントの被害を記録し、告発することができるプラットフォームだ。本プラットフォームはブロックチェーン技術を利用しており、従業員はVault上に自分が受けたハラスメントの記録を誰にも見られず、安全に保存しておくことができる。そして、告発する決意が固まったとき、速やかに人事担当にコンタクトを取り、その記録を提出することができる仕組みだ。

ハラスメント告発プラットフォームValut

Image via Valut

Vaultの大きな特徴の一つが、「GoTogether™」機能である。これは、他の従業員が自分と同じ相手から被害を受けている記録を作成した際にそれを感知し、知らせてくれる機能だ。ひとりで被害を訴えるのは、やはりなかなか勇気が出ないかもしれない。そんなときは、この機能が後押ししてくれるのだ。

Vaultによると、このプラットフォームは三つの前提に基づいて作られたという。一つ目はハラスメントの被害者にとって、被害を会社に告発するのは簡単なことではないということ。二つ目は、#MeTooのような運動が広まりつつある現在、被害を会社に告発しないことは、必ずしも「被害について声をあげない」という意思表示にはならないこと。会社に告発せずとも、インターネットやソーシャルメディアを通じて拡散し、会社の信用を失わせることはできるのだ。

その結果、三つ目として挙げられるのが、ハラスメントに対して適切に対応しないことは、結局会社にとってもマイナスでしかないということだ。会社がVaultを導入すれば、従業員はより簡単に会社に対して被害を訴えることができる。さらに会社側も、直接従業員から報告を受けることにより、迅速に適切な対応を取ることができれば、世間に悪い印象が広まることもない。この流れが定着すれば、いずれは根本的なハラスメントの撲滅につながっていくという考えだ。

女性に対してのみならず、男性に対するパワハラ、モラハラ、マイノリティに対する差別など、職場で苦しんでいる人が未だ多く存在する現在、ひとりひとりの意識を変えていくことはもちろん、まずは声をあげやすい環境を整えていくことが重要かもしれない。

【参照サイト】Vault