古着でランウェイ?!NYのファッションイベント「“Re”Fashion Week」が提案する、エコ×オシャレのはじめ方

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近年、アパレル業界における在庫処理の問題が大きく取り上げられている。毎年、売れ残った膨大な数の洋服が、焼却されたり埋め立てられたりしているというのだ。2018年には、イギリスの有名ブランド「バーバリー」が約42億円分の在庫を焼却処分していたとの報道があり、世界に衝撃を与えた。多くの消費者が、これまでの「大量生産、大量消費」の考え方に疑問を感じ始めている。

衣料品廃棄画像

Image via shutterstock

衣料品の廃棄問題は、アパレル業界だけの問題だと思われがちだが、実はそうではない。私たち一般市民にとっても深く関わる問題なのだ。アメリカ ニューヨーク市で、1年に1家庭が廃棄する繊維製品の量は約54キログラム。市内の全家庭あわせて毎年約20万トン、なんと自由の女神900体分もの繊維製品が廃棄され、埋め立て地に送られていることになる。

2019年2月末、世界4大コレクションの一つ「ニューヨークファッションウィーク」の開催直後に、繊維製品の廃棄問題について考えようとあるイベントが開催された。その名も「ReFashion Week NYC(リ・ファッションウィーク ニューヨークシティ)」だ。

ニューヨーク市衛生局が主催したReFashion Weekでは、古着や布の端切れなど、個人や企業から手放された繊維製品を活用した様々な企画が催された。「資源を大切にしながらオシャレをするヒント」がたくさん提案され、個々人がファッションについて考える機会となっていた。

中でも特に印象的だったのは、ReFashion Show(リ・ファッションショー)である。一般的なファッションショーとは違い、このショーに登場するコーディネートには、一切新作が使われていない。

繊維製品回収ボックス

いらなくなった繊維製品を寄付できるボックス。

リ・ファッションショーのコーディネートに使われたのは、すべてスリフトショップに寄付された洋服やアクセサリーだ。スリフトショップとは中古品を販売する非営利団体の店のこと。顧客から買い取った商品を販売するユーズドショップとは違い、寄付された商品を販売するのが特徴であり、店舗の売り上げは慈善活動に活用されている。

今回スタイリングを手がけたのは、ニューヨークで活躍するファッションスタイリストとインフルエンサーの計6人。それぞれのルックを審査員が評価し、優勝者を決定する仕組みだ。スタイリストのマリーは「スリフトショップでは、ベーシックなものからハイファッションまでいろんなアイテムが見つかるのよ!このショーを通して、スリフトショップが万能であることを伝えたい!」と意気込んでいた。

リファッションショーモデルたち

ランウェイに登場したモデルたち

ランウェイには次々にモデルたちが登場する。来場者たちは「次はどんなスタイルが登場するのだろう」と終始ワクワクしている様子だった。司会者のミシェルがそれぞれのルックを紹介し、ときにジョークを交えながら会場を沸かせる。ミシェルが、フリンジのワンピースを用いたスタイルに対し「みんないい?これは洗車機じゃなくて、ファッションよ!」とコメントすると、会場は笑いに包まれた。

リファッションウィーク画像

司会者のミシェル(中央)。奥に並ぶのはショーの審査員たち。

様々な質感、カラー、テイストがミックスされたオシャレなスタイル。限られた洋服から選ばれたコーディネートということもあり、スタイリストそれぞれの創造力が光る。審査員からも「埋立地に行ってしまう予定だった洋服を救い出し、こんなにファッショナブルなコーディネートを作り出すなんて!」と驚きの声が上がっていた。

審議の結果、優勝者は2名選ばれた。審査員の1人は「モデルたちは自信をもって着こなしているように見えた。その堂々とした姿こそが、『新品でなくても十分素敵なスタイリングができる』という何よりの証ね」コメント。最後に優勝者の1人であるジャクソンが「リデュース、リユース、リサイクル!」とシンプルで力強いコメントを送ると 、会場は拍手喝采に包まれた。

リファッションウィーク画像

優勝した2人のモデルたち(両端)とスタイリスト (中央)

クリエイティブなファッションショーの他にも、洋服交換会(スワップ)や古着のお直し&リメイクワークショップ など様々な企画が開催された。市内のスリフトショップと提携したイベント期間限定のショップも登場。「スタイリストやインフルエンサーがセレクトした古着」を購入できるキュレーションショップでは、洋服の寄付が入場料の代わりになるという面白い試みも行われていた。

衣料品廃棄画像

Image via shutterstock

これまでニューヨーク市で捨てられていた20万トンの繊維製品をすべて再利用した場合、なんと10万台の車を一年運休させるのと同じだけ温室効果ガスを抑制できるのだという。ReFashion Weekはそんな未来を実現するためのヒントと「エコとオシャレは両立できる」という希望を与えてくれるイベントだった。

古着店にはチェーン店だけでなく、テーマに沿ってセレクトしたアイテムを扱う個性的なショップもある。古着専門の販売サイトやアプリが登場したこともあってか、「新品ではなく古着を選ぶ」ことがオシャレを楽しむ方法の一つとしてより身近になってきているように感じられる。新品の洋服店とは違い、古着屋では「どの店舗でも一律に欲しいアイテムが買える」わけではない。だからこそ古着との出会いは一期一会だし、面白いのだ。誰かのお気に入りだった洋服が、また他の誰かの手で新しくオシャレに生まれ変わる。自分が手放した洋服が、誰かのとっておきの一着になる可能性だってある。そう考えると、ワクワクが溢れてくる。人にも地球にも、優しいオシャレ。あなたも始めてみてはいかがだろうか。

【参照サイト】ReFashion Week NYC