食料廃棄問題が叫ばれて久しい。IDEAS FOR GOOD でも、『「もったいない」食料廃棄を減らす、世界のアイデア7選』や、『It’s Fresh! 置くだけで野菜とフルーツを長持ちさせるフィルターが登場』などの世界の動きをキャッチアップしてきた。農林水産省の調査では、日本でも平均して1人1日、お茶碗1杯分のご飯に相当する量(年間646万トン)が廃棄されているという。
今回は、そんな食料廃棄問題の解決に挑む、新たなアプローチ方法をご紹介したい。アメリカのスタートアップ企業Cambridge Crops(ケンブリッジクラップ)社が開発したのは、食品にかけるだけで消費期限を約2倍に伸ばすことができるコーティングスプレーだ。タンパク質でできているのでそのまま食べることができ、香りやそれ自体の味もしない画期的な製品だ。
使い方は簡単で、肉やフルーツ、海産物、野菜などの腐敗しやすい食べ物にスプレーをするだけ。食品だけではなく、花にも適用可能だ。水分を主体とした絹の繊維状タンパク質が含有されており、コーティングをすることで空気中の水蒸気や気体に触れにくくさせ、酸化や水分の消失を防ぐ。
ケンブリッジクラップ社は現在、製造者と製品テストを実施している。2020年までにはFDA(米国食品医薬品局)からの認可を受けて、商用化される予定だ。
同社は、アメリカにあるマサチューセッツ工科大学とタフツ大学のコラボレーションにより生まれた。公式ホームページによると、農業から排出される温暖化ガス問題への対処法として、世界最大の慈善基金財団であるビルゲイツ財団のトップリストに入っている会社でもあり、国内外から期待されている。現在、8名の従業員が生産者や流通業界とともに本製品の大量生産化に取り組んでいる。
単身世帯や高齢者世帯が増えている日本。一人暮らしではつい食品を買い過ぎてしまい、余らせてしまうことも多いのではないだろうか。このスプレーがあれば、消費期限を伸ばし、食料廃棄を減らすことはもちろん、節約にもつながる。たとえば生産者側も、収穫後にこのスプレーをかけておくことで食品の食べごろの期間を伸ばすことができる。今後の動きに注目したい。
【参照サイト】Cambridge Crops公式HP
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