61万2000本のペットボトルから作られた家は、カナダのノバスコシア州に建っている。通りの名前はSunset Laneで、近辺にメテガン川が流れる。ベージュとダークグレーの色をした、バンガロータイプの建物だ。部屋は全部で6部屋。家族連れが住むことを想定しているのだろう。壁は白色、3人掛けのふわふわしたソファーと大きな窓があり、海を眺めながら思いきり伸びをしたくなる。
この家はJD Compositesというプロトタイプ住宅を建てる会社が、ペットボトルからフォームコアを作るベルギーの会社Armacellとパートナーを組んで完成させたものだ。JD Compositesはペットボトルから作ったフォームコアを綺麗に整え、ラミネートし、家の壁や屋根となるパネルを作成した。このパネルは一般的な壁より保温力に優れているため、冷房や暖房の省エネにもつながる。
ペットボトルからできた壁は軽量でありながら、強度が高い。8フィートの壁は時速326マイルの風をも耐えることができ、家の寿命は250年以上だという。JD Compositesの共同創業者であるソルニエ氏は、ハリケーンが多発する地域の住宅としてもふさわしいと語る。その上、家を建てるのにかかる時間も短い。フレーミング、断熱、サイディングなどの工程が必要ないため、今回カナダの家を建てるときは壁の完成に7時間、屋根は1日しかかからなかったという。
世界では1分間に100万本のペットボトルが消費されている。1軒建てるごとに61万本のペットボトルを使用するこの家がもっと普及すれば、多くのプラスチックが埋立地に行かないですむ。今回建てられた家は、490,000ドル(約5,300万円)で販売中だ。価格は一般的な住宅とあまり変わらないが、ソルニエ氏によればこの家はエネルギー効率が高いため、住民はコスト削減ができるという。
いったん住み始めてしまえば、ペットボトルから作られた珍しい家に住んでいるという感動は1~2か月で薄れてくる。毎日見ていれば目新しくもなくなるからだ。しかし、この家が環境保護に役立っているという広い視点があれば、「家が欲しい」という個人的な欲望を満たす以上の納得感が生まれるのではないだろうか。
【参照サイト】 JD Composites
【参照サイト】 A million bottles a minute: world’s plastic binge ‘as dangerous as climate change’