気候変動に備える。水に浮かぶオフグリッドのオフィス、ロッテルダムに誕生

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オランダは低地の国だ。国土の3分の1が干拓地であり、半分近くが堤防で囲まれた海抜ゼロメートル地帯にある。世界屈指の港湾都市として知られるロッテルダムは、土地の90%が海面より低い位置にある。水をコントロールすることは13世紀ごろから、この土地に暮らす人たちの宿命だった。近年の地球温暖化による海面上昇も、低地の国にとっては特に懸念される問題だ。

ロッテルダムの建築スタジオであるPowerhouse Companyは、水に浮くオフィスビル Floating Office Rotterdam (FOR)を2020年の秋に完成させる予定だ。3階建てのオフィスはマース川に浮き、海面が上昇しても浸水しないよう設計されている。クライメート・レジリエンス(気候変動の影響からの回復力)が高いこの建物は、気候変動の緩和に取り組むNGOであるGlobal Center on Adaptationのオフィスになる予定だ。

オフグリッドオフィス

Powerhouse Company – GCA headquarters| Image by Atchain

オフグリッドオフィス

owerhouse Company – GCA headquarters| Image by Plomp

FORは、カーボンニュートラルかつオフグリッドを実現した建物でもある。建物はカーボンフットプリントを少なくするため、ほぼ全体が木材でできている。屋根の片面にはソーラーパネルが取り付けられ、他の側には草木を植えることで建物を涼しく保つようにしている。また、入り江の水が熱交換を行い、建物の冷暖房機能となる。さらに建物から大きく張り出している屋根やバルコニーが日陰をつくり、建物を冷やす。

地域とのつながりをつくるため、FORのテラス、レストラン、スイミングプールは一般市民も使用可能となる予定だ。FORは、作られてから5〜10年間はマース川で Global Center on Adaptationのオフィスとして使用されるが、その後は他の場所に移動したり、他の組織に貸し出したりする可能性もあるという。

オランダには、干拓によって国土を形成してきた誇りから「世界は神がつくりたもうたが、オランダはオランダ人がつくった」という言葉がある。Global Center on AdaptationのCEOを務めるパトリック・バークーエヘン氏も、今回のオフィス建設に関して「いかにして将来性のあるインフラを作るのか、人々に示唆を与えたい」と誇りをにじませている。サーキュラーエコノミーの先進地である同国からは、今後もこうした先進的な取り組みが発信されるに違いない。

【参照サイト】Powerhouse Company