サンフランシスコ発。商品の消費期限を教えてくれる、藻からできた包装フィルム「Primitives」

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近年、EUをはじめ各国政府の規制や企業の自主的な取り組みによってプラスチックごみ削減の動きが加速している。年間3億トン生産され約半分が包装容器に使われている現状の中、プラスチックに替わる包装容器の開発も進められている。

今回ご紹介する米国サンフランシスコのスタートアップ「Primitives」は、藻類から作られたフィルムを開発することで、包装プラスチックの削減と、食品ロスの削減を一度に達成することを目指している。

現在開発が進んでいるこの素材は透明なフィルム状のものだ。一般的なプラスチック包装は、異なる素材からできたフィルム上のプラスチックからできているため分解が難しい。一方で開発中の新素材は藻類からできており、自然分解が可能だ。さらに分解のための専用施設が必要な従来の分解可能素材と違って、家の庭でも分解可能だ。

また素材になる藻類は二酸化炭素や農業廃棄物を栄養素としているため生産段階でも環境負荷が小さいだけでなく、現在一般的に使われているプラスチックよりも効果的に酸素を通しにくくしており、紫外線の遮断率も高いため、食品の保存に適している。

同素材は2020年内には堆肥可能な包装素材として商品化される予定だが、今後さらなる機能向上も予定している。素材の特性を活かして、周囲の環境に応じ色や形が変わる機能を追加することで、包装から経った日数や保存された温度を可視化し、食品が食べられるか一目でわかるようにする予定だ。まだ食べられるにもかかわらず賞味期限切れによって廃棄される食品ロスの削減も目指す。

この新素材は、バイオテックを専門にするアクセラレーターによる支援を受けているスタートアップが開発・商品化を進めている。素材として農業による廃棄物の活用を検討しているなど素材化学の知見を新しい製品の開発に活かすだけでなく、社会課題の解決を踏まえた商品化まで実現している事例だ。研究で得られた知見をベースに、社会課題解決を進めながら収益を生むビジネスが今後も拡大することが期待される。

【参照サイト】This compostable packaging can tell you when your food is going bad

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