セブン‐イレブン「ペットボトル回収機プロジェクト」に学ぶ、プラスチックとのつき合いかた

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プラスチック問題は今や世界で共通の問題である。石油から作られるプラスチックは分解されず、微生物によって分解されにくいことから、環境への負荷が高い。また、ポイ捨てや不法投棄などにより小さなプラスチックの欠片が海に流れ出てしまうことで海洋生物の命を奪ってしまう恐れのある海洋プラスチック問題も深刻だ。

欧州では2018年5月に提出された使い捨てプラスチックの利用を禁止する法案が2021年に施行され、2019年にインドでも2022年のプラスチック全面禁止に向けてすでに動き始めている。

日本でも各企業が脱プラスチックに向けて様々な取り組みを始めている。その中で日本一のコンビニエンスストア店舗数を抱え、多数プラスチック商品を扱う株式会社セブン‐イレブン・ジャパンは、現在気候変動やプラスチック対策に向けた取り組みを行っている。今回筆者はセブンイレブンのペットボトル回収機プロジェクトに注目し、株式会社セブン‐イレブン・ジャパン サステナビリティ推進室の西山純生さんにお話を伺った。

(株)セブン‐イレブン・ジャパン サステナビリティ推進室の西山純生さん

(株)セブン‐イレブン・ジャパン サステナビリティ推進室の西山純生さん

日本のプラスチックリサイクルの現状

日本のプラスチックリサイクル率は84%と一見高いように見えるがここにはちょっとしたからくりがある。国内のリサイクルの処理方法は大きく分けて3つある。1つ目は廃プラスチックをプラスチックのまま原料にして新しい製品を作るマテリアルリサイクル。ペットボトルは主にカーペットなどの繊維製品、洗剤ボトルなどの成形品に生まれ変わることが多い。2つ目は熱や薬を使い化学的に分解して資源を再利用するケミカルリサイクル。そして3つ目は焼却して熱エネルギーとして利用するサーマルリサイクルである。

3種類のリサイクルのうち、マテリアルリサイクル(23%)と、ケミカルリサイクル(4%)は合わせておよそ27%しかなく、サーマルリサイクル(56%)を含めた64%は焼却されているのだ。また残りの7%は埋め立て処分となっている。

欧州ではサーマルリサイクルはリサイクルとみなしておらず、エネルギーリカバリー(熱回収)と呼んでいるため、同じ指標でリサイクル率を比べると、日本のリサイクル率は27%となり、EU平均32.5%を下回る結果となっている。一方で、ペットボトルに目を向けてみると2017年のペットボトルの回収量は37万1千トンで、リサイクル率は84.8%との推計だ。しかしこれにも焼却によるサーマルリサイクルが含まれており、日本の海岸で3番目に多く見つかるごみが、ペットボトルだという。

セブン‐イレブン・ジャパンのペットボトルへの挑戦

環境意識の高まりにつれて、ペットボトルを購入するのではなく、普段からマイボトルを持ち歩くことの重要性が至る所で話されるようになってきた。ペットボトルなどの使い捨てプラスチックを出来るだけ使わないようにすることは、環境問題への意識を行動に移す上で最初のステップとも言えるだろう。しかし日常生活に定着してしまった便利なペットボトルを、いきなり排除することは難しいと感じている人も多いのではないだろうか。

ただ、ペットボトルは “絶対悪” ではない。マイボトルを持ち歩くに越したことはないが、西山さんは「ペットボトルは正しく回収すれば、100%リサイクル可能な優秀な素材なのです。」と話す。

セブン‐イレブン・ジャパンは、ペットボトルの廃棄に着目し、店頭にペットボトル回収機を設置して、ペットボトルの100%リサイクルに向けた取り組みを加速させている。2018年に東京都・埼玉県の300店舗にペットボトル回収機を設置し、2018年度における店頭回収機でのペットボトル回収量は、セブン&アイグループ全体で約3億本相当である。(2019年2月末時点。セブン‐イレブン、イトーヨーカドー、ヨークベニマル、ヨークマート含む759台より)今年2020年中にはさらに1000台の回収機を設置する目標で、今後もペットボトルの回収量はさらに増加するだろう。

セブン-イレブンペットボトル回収機

セブン-イレブンペットボトル回収機

通常街中にあるペットボトル専用の回収ボックスでは、ラベルとキャップを外した状態で捨てられているペットボトルはあまりなく、ペットボトル以外のゴミや中身が残ったままゴミ箱に入れられている光景も多く見かける。このようなきちんと分別をできていないものは、リサイクルをすることが難しい。

プラスチックは単一な原材料ではなく、PE(ポリエチレン)・PS(ポリスチレン)・PP (ポリプロピレン)・PVC(ポリ塩化ビニル)といったいろいろな種類の原料が混合していることが多いため、プラスチックで分別したところでマテリアルリサイクルやケミカルリサイクルすることはできず、ほとんどがサーマルリサイクル(熱エネルギー回収)として他のゴミとともに焼却されてしまうのだ。しかし、ラベルとキャップを外し分別回収されたペットボトルは単一の原材料であるため、ケミカルリサイクルとしてまた同じペットボトルに再生可能なのである。

ペットボトル回収機で回収され、潰されたペットボトル

ペットボトル回収機で回収され、潰されたペットボトル

今回セブン‐イレブンが推進しているペットボトル回収機を利用すると、分別されずにゴミ箱に入れられてしまうペットボトルを未然に防ぐことができる。キャップとラベルを外して、軽く中身をすすいでから投入すると、ビンや缶などペット素材の物以外は、センサーが反応して除いてくれる仕組みになっている。そして、ここで回収されたものは、100%リサイクルできる“きれいな”ペットボトルのみとなり、体積が約1/4に潰されるため、効率よくリサイクル工場に運ぶことができる。

さらに、セブン‐イレブンでは、店頭で回収したペットボトルのみを再生利用した「一(はじめ)緑茶 一日一本」500ml(税別118円)も販売している。PET樹脂を石油やナフサから新しくつくるよりも、合成の途中段階まで戻して再度PET樹脂とすれば資源の節約が図れる。こうした「ボトルtoボトル」という仕組みが広まれば、まさに循環型社会として資源が循環してペットボトルがゴミとして捨てられることのない社会が実現するのではないだろうか。


また、セブン‐イレブンの電子マネー「nanaco」を nanacoリーダーにタッチしてからペットボトルを回収機に投入すると、5本で1nanaco ポイントが付与されるというお得な側面もある。こうした「エコポイント」は日本人の消費者心理をうまく使ったユニークな戦略だ。

正しい知識を持った上で『選択する』ことが大切

タイでは2020年1月1日からコンビニ・スーパーでビニール袋の提供の完全廃止を始めた。このように世界中で加速している脱プラスチックへの風潮の中で、日本のコンビニもビニール袋の撤廃が迫られている。

環境の観点から非難されがちなプラスチックだが、全体として排出されるCO2は、使い方によっては、マイバックやマイボトルを生産するよりも少ないこともある。

例えば、レジ袋とマイバッグの CO2排出量を算出した調査によると、あるマイバッグ1個あたりの CO2排出量は、レジ袋1枚の約50倍になっている。つまり、買い物回数50回ごとにようやくCO2排出量がレジ袋と等しくなるということだ。マイバッグについては、耐久性のよいものなら環境負荷低減に貢献するが、頻繁に買い替えてしまうとレジ袋よりも環境負荷が大きくなる場合があるということがわかる。

ここで重要になってくるのが、ライフサイクルアセスメント(LCA)だ。製品の資源採取から原材料の調達、製造、製品の加工・組立、流通、使用、そして廃棄にいたるまでの 全過程(ライフサイクル)における環境負荷を総合し評価するための手法だ。

(株)セブン‐イレブン・ジャパン サステナビリティ 推進室の西山純生さん

(株)セブン‐イレブン・ジャパン サステナビリティ 推進室の西山純生さん

西山さんは「様々な情報を鵜呑みにせず、消費者一人一人が正しい知識を持った上で、生活スタイルを選択することが大切です」と語る。ライフサイクルアセスメントは、環境影響を正確に把握し、環境に良い行動を選択する際に、是非頭に入れておきたい考え方だ。

編集後記

今回はペットボトル回収機の取り組みについて着目したが、セブン‐イレブンは他にも、バイオプラスチックを30%配合したレジ袋や、100%植物由来で生分解性を有する「PHBH」のプラスチックストローや紙ストローを一部地区で採用したり、おにぎりや菓子パンなどのオリジナル商品の包装素材をさとうきび由来のボタニカルフィルムを配合したりなど、細かいところで環境を配慮した取り組みを進めている。

「コンビニは身近な存在のお店です。お子様からご年配の方まで毎日様々なお客様に来ていただいており、日常の生活に組み込まれているからこそ、環境問題に対してもきちんと取り組んでいかなければなりません。日本全国、地方にも根付くコンビニエンスストアだからこそ、消費者に与える影響は大きいです。今後セブン‐イレブン・ジャパンが皆様のライフスタイルをより良い方向に変えていくお手伝いができるのであれば積極的にその役割を果たしていきたいと思います。コンビニに行くことで社会貢献ができる、そんなコンビニになれるよう、より一層取り組んでいきたいです。」と語った西山さん。

今後コンビニ業界のさらなる環境への取り組みに期待するとともに、私たち消費者自身もまずはゴミの分別から、意識していくことが大切だ。

【参考サイト】ペットボトル自動回収機
【参考文献】枝廣淳子(2019)『プラスチック汚染とは何か』岩波ブックレット.

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