【まとめ】脱プラスチックへと突き進む世界。その深刻な理由と驚くべき問題解決アイデアとは?

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EUは、2030年までにすべてのプラスチック包装をリサイクルし、使い捨てプラスチックを削減すると発表した。コカ・コーラ、ユニリーバ、ウォルマートなどのグローバル企業11社も、2025年までのパッケージ・リサイクル100%を宣言するなど、世界はいまプラスチックフリーへと転換のときを迎えている。

一方でなんとなくプラスチックが環境に悪いのはわかるが、なにがそんなに問題なのかご存知だろうか?また、プラスチック問題を解決する具体的な取り組みには、どういったものがあるのだろうか?ここでは、科学的アプローチからプラスチックの問題点を説明してから、プラスチック規制への世界の動きとそれに向けたクリエイティブな解決策をご紹介したい。

※なお、本文のプラスチックの科学的見解は、東京農工大学院農学部水環境保全学研究修士課程に所属している大垣多恵さんが登壇されたCreative Shibuya Morningsのイベント中の話を元にしている。

マイクロプラスチックとは?

石油から作られるプラスチック。プラスチックは、年間3億トンが生産され、石油産出量の8%を占めている。そのうちの半分が容器包装に使用されている。

プラスチックは軽いので遠くまで運ばれ、かつ自然分解されずに半永久的に残るという特徴がある。そのため使用済みプラスチックは、ポイ捨てや、ゴミ処理施設へ輸送される過程で環境中に出てしまったあと、雨で流され最終的に海に流れ着く。そして、ものとの接触や紫外線の影響で劣化し、5ミリ以下のマイクロプラスチックとなる。洗濯バサミの白い粉などが、身近で劣化を確認できるわかりやすい例だ。

なぜプラスチックが問題なのか?

では、なぜプラスチックがこんなにも問題になっているのだろうか?ここでは、化学的な面と物理的な面から考えてみたい。

化学的被害

海水には、低濃度だが汚染物質が含まれている。汚染物質とは、かつて工業用途として使われていた農薬や潤滑油などのことである。今は禁止されていても、過去使われていものが海の中に残っているのだ。

汚染物質は、油と親和性がある。そのため、石油からできているプラスチックは海を漂う間に汚染物質を吸収しやすく、意図せず汚染物質を運んでいる。

これらは目には見えないが、確実に環境に悪影響を与えている。

物理的被害

海の中の魚が、マイクロプラスチックを食べてしまう問題もある。東京湾で釣った64匹のイワシのうち、80%にあたる44匹のイワシの体内からマイクロプラスチックが出てきたという調査結果もある。

油との親和性が高い汚染物質が、生物の脂肪に移り、体内に蓄積してしまうのだ。その生物の体にとってももちろん良くないが、それを私たち人間が食べていることを忘れてはいけない。

リサイクルは、本当に持続可能なのか?

ゴミのキーワードとしてよく聞く、3R。3Rとは、そもそもの量を減らすリデュース(Reduce)、繰り返し使うリユース(Reuse)、そして資源として再利用するリサイクル(Recycle)のことを言う。

この3つのRにも優先順位がある。まず、ゴミを出さない削減、再使用、そしてリサイクルの順で考えたほうが環境への負荷は低くなる。

なぜリサイクルの優先順位が低いのだろうか?それは、プラスチックを再利用するための焼却炉の建設には100億円、稼働には年間2億円以上かかり、施設の寿命は30年程度だからだ。30年経過したら、100億円かけてまた新しいものを作らなければならない。そして、古い焼却炉には高濃度のダイオキシンや貴金属が含まれるので、解体にはさらに膨大な費用がかかる。

リサイクルが決して悪いわけではないが、一度立ち止まって、リサイクルにかかるエネルギーとコストについて考えてみることも大切である。

世界のプラスチック問題への解決策

2025年にはプラスチックが2015年と比較して10倍になると予測されている。そんななか、国や企業はさまざまな取り組みをはじめている。

プラスチックの使い捨てやプラスチックバッグを規制しているか規制を決めた国には、EUをはじめ、チリ、バングラデシュ、ケニア、エチオピア、台湾などがある。オーストラリア、アメリカ、デンマーク、インドなどでは、一部の州や島でプラスチックの使用が規制されている。

IDEAS FOR GOODでも、これまでプラスチックに関するニュース記事を配信してきた。ここでは、国別でまとめてみたい。

女性がアイデアにあふれた未来を描いている

アメリカ

国レベルでは地球温暖化対策の推進を目指した国際枠組みであるパリ協定から脱退するなど、世界の流れと逆行しているアメリカ。しかし、アメリカ発のグローバル企業やスタートアップのプラスチック問題への動きは活発だ。

イギリス

英国王室もプラスチックの使用を禁止するなど、イギリスでは多くの団体が先駆的にプラスチック問題に取り組んでいる。

オランダ

自転車大国であるオランダでは、世界初となる「プラスチックフリー」のスーパーができるなど、世界が注目する動きが見られる。

フランス

スーパーでの食料廃棄を法律で禁止するなど、環境分野において国家レベルで先駆的なアクションを取るフランス。2020年から「プラスチック製使い捨て容器や食器を禁止する法律」を施行することも決めた。

スウェーデン

環境先進国スウェーデンは、2040年までに再生可能エネルギー100%を目指している。実際、電力の約50%が再生可能エネルギーから賄われている

インドネシア

世界最大の島嶼国で海上投棄されたゴミが流れ着く先でもあるのだが、「ゴミをゴミ箱に捨てる」という概念が成熟していないジレンマを抱えている。そんなインドネシアで、面白い取り組みがはじまっている。

インド

21世紀中に世界一の人口になると予測されているインドは、世界で4番目にプラスチック汚染の原因となる国である。しかし、一部の州でプラスチックが禁止されるなど、世界のプラスチック禁止への流れを引っ張っている。

ベルギー

デンマーク

マレーシア

アラブ首長国連邦

アルゼンチン

ガーナ

ケニア

編集後記

毎日の生活の中で必ず一回は目にするプラスチック。ペットボトルからお菓子の包装、レジ袋、ビニール傘、服にいたるまで、あらゆるものがプラスチックでできている。しかし、ストローであれば数秒、パンの袋であれば数分使われるだけの寿命のために、多くの資源やエネルギーが犠牲になっているのだ。

これだけプラスチックに囲まれた生活をする中で、プラスチックのない世界なんて考えられないかもしれないが、そうではないと思う。上記の世界の事例にあるとおり、クリエイティブに考えれば、プラスチックを使わない、または減らす方法はたくさんある。

なによりプラスチックを減らすことは自然環境のためだけではなく、巡り巡って私たちの健康のためでもあるのだ。国レベルで動くことももちろん、それと同じくらい、またはもっと大切なことは、私たち消費者のマインドシフトである。風呂敷を使ったり、マイボトルを持ち歩くなど、小さな行動なしには問題は変えられないことを忘れてはならない。

【参照リンク】Plastic Waste: a European strategy to protect the planet, defend our citizens and empower our industries
【参照リンク】【国際】コカ・コーラ、ユニリーバ、ウォルマート等11社、2025年までのパッケージ・リサイクル100%を宣言
【参照リンク】From birth to ban: A history of the plastic shopping bag
【参照リンク】All Forms Of Disposable Plastic Banned In Delhi-NCR!
【参照リンク】ENERGY USE IN SWEDEN