クラフトビール大手のBrewDog、空き缶と引き換えに株式をあげるキャンペーンを開始

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世界各国のアルミ缶のリサイクル率をご存じだろうか。アルミ缶リサイクル協会によると、2015年のリサイクル率はイギリスが68%、アメリカが64.3%、日本が90.1%と、全体的にリサイクル率は高い。アルミニウムは融点が低いため、比較的簡単にリサイクルが可能で、使用済みのアルミ缶はわずか60日で新しい飲料缶としてスーパーマーケットの棚に並べられる。しかし、そんなアルミ缶もリサイクルされずに埋立地に捨てられてしまうと、分解されるまでおよそ500年の月日がかかってしまう。

スコットランド発のブルワリーであるBrewDogは、同社が販売するビールの空き缶50個と交換で自社の1株式を付与する「Cans for Equity(缶と引き換えに株)」というキャンペーンを始めた。アルミ缶50個をヨーロッパ各国にあるBrewDogのバーに持ち込むと、誰でも同社の株の引換券をもらうことができる。このキャンペーンは、2月25日から4月にクラウドファンディングが終了するまでの間、イギリスとヨーロッパで行われる。

同社はロンドンに拠店を置くリサイクル業者であるFirst Mile Recyclingと手を組み、このキャンペーンで回収したアルミ缶をリサイクルする。株と交換するというユニークな発想を取り入れることで、埋立地行きになるアルミ缶を減らそうとしているのだ。

Cans for Equityで株を手に入れた人は、BrewDogが2010年から続けている株主のコミュニティである「Equity Punks」に加わることになる。同社は今までにクラウドファンディングを6回行っており、そこで投資した130,000人によって株が所有されている。次にどういうビールを醸造するのか、どこに次のバーを開くのかといった決断にも関わっているEquity Punks。こうしたキャンペーンで、サステナブルな取り組みに共感してくれる株主が増えることで、企業として長期的な指針を持ってサステナブルな事業を行うことができるようになるという側面もある。

Equity Punksに加わると、BrewDogのバーやオンラインショップで割引を受けることができたり、新しいビールをいち早く試すことができたり、誕生日にビールが1杯無料になったりと、ビール好きにとって嬉しい特典がいろいろ受けられる。ちなみに株は同社のウェブサイトからでも、1株50ドル(約5500円)で購入することが可能だ。

BrewDogの共同創業者であるジェームズ・ワット氏は「冷蔵庫にあるBrewDogのビールは、あなたに2回報いる。1回目はそれを開けたとき、2回目はそれを私たちに返したときだ」と、Cans for Equityの魅力を伝えている。このユニークでサステナブルなキャンペーンは、他業界でも利用できるアイデアではないだろうか。

【参照サイト】BrewDog

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