本に先払いしよう。閉鎖中の書店を助けるスペインのキャンペーン

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新型コロナウイルス感染拡大により、外出禁止や自粛要請が出された今、世界中で小規模店舗を運営する人々が経済的な困難に直面している。そんな中、経営難に見舞われる地元の書店を助けるため、「本屋さんを開けよう(Open Bookstores)」というキャンペーンがスペインのカタルーニャ州で3月後半から始まった。

仕組みはシンプル。ウェブサイトに提示された6,000を超える書籍からお好みの本を選んで注文し、本を受け取る店舗を指定。クレジット決済すると、本の代金全額がその書店に支払われる(書店への支払いは期間中に50%、店舗閉鎖期間が終了した後、店を再開すると残りの50%が支払われる)。本の受け取りはお店が再開してからとなるが、書店にとっては当面の支払いを工面できる。

この取り組みは、文化・出版・広報分野の協同組合ソム(SOM) とデジタル分野の制作・コンサルティング会社、モーテンセン(Mortensen)のタッグによるものだ。出版社や作家、書店、団体、ジャーナリストなどと協力し、非営利で運営されている。1日あたりの売り上げ目標は30,785冊。2019年3月の売り上げが800,412冊だったため、前年同月比と同じ売上を確保しようというわけだ。

スペインの本屋応援キャンペーン

キャンペーンの立ち上げに際して、ソムは「書店はわが国で最も価値のある文化的財産の一つであり、われわれは保護に貢献する必要がある」とで述べている。

日本でも近年、電子書籍などに押されて閉店していく地元の書店。ここに新型コロナによる外出自粛要請が加われば、踏ん張っていた書店に止めを刺してしまうことにもなりかねない。しかし、思いがけない本との出会いを提供してくれる書店は、まちの文化として欠かせないはずだ。

「本は人生であり、書店はあなたの最高のカウンセラーです」とソムはその存在意義を語る(※ウェブサイトより抜粋)。つまり、書店の危機を助けることは「文化」を守っていくことに直結しているのだろう。文化についてどう捉えているのか、ソムのウェブサイトにこんな一節があった。

文化は私たちを自由な人々にします。
文化は私たちにとって楽しいものです。
文化は私たちを成長させます。
文化は私たちを共有させます。
文化は私たちを集団、社会、国にします。
som.cat より引用)

世界的な非常事態にあっても、「文化」の大切さを見失わないスペインの人たちの取り組みに学ぶことは多そうだ。

Som i Mortensen impulsen la campanya Llibreries Obertes
【参照サイト】Llibreries Obertes

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